ポン、ポン、ポン――。部長が目の前にある書類に、次々とハンコを押していく。昭和の映画やドラマを見ると、このステレオタイプともいえるシーンをよく目にしたが、最近はめっきり少なくなった。
それもそのはず。世の中は「脱ハンコ」である。10年ほど前から「上司がハンコをポンポン押してるけれど、本当に必要なの?」といった声が出ていたが、新型コロナの影響でこの流れは一気に広まった。
となると気になるのは、ハンコメーカーの動向である。ちょっと興味のアンテナに引っかかったので、大手のシヤチハタがどのような動きをしているのか調べてみた。文具コーナーに足を運ぶと、「いろもよう」(650円+税)と書かれた商品が目に飛び込んできたのである。
いろもようとは、2020年2月に登場したスタンプ台のこと。速乾性のあるインクと繊細な盤面技術を生かしていて、全29色を展開している。「木賊色(とくさいろ)」「朽葉色(くちばいろ)」「浅葱色(あさぎいろ)」など、見たことも聞いたこともない色がズラリと並んでいるが、消費者に支持されているのだろうか。
シヤチハタの担当者に確認したところ、「ハンコを使った創作や日記のデコレーションなどを楽しむ人に売れていまして、約3年で46万個以上も売れました」とのこと。
ヒット商品は、まだまだある。ダイヤルを回すと印面が変わって、1つで13種類の絵柄を楽しめる「回転デコレーションスタンプ」(1500円+税)も人気を集めている。「ねこ」「植物」「食べ物」といったデザインが施されていて、手帳やメッセージカードなどにポンポンと押す。デコレーションを楽しみたい人に支持されていて、こちらは発売3カ月で1万個が売れた。
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