祇園エリア、東山安井の「小多福」は、インスタ映えするカラフルで小粒なおはぎを販売する店。08年に開業し人気を博してきたが、21年5月に店主である女将の高齢化のため閉店した。
しかし、女将と交流があった豆腐製造販売の京味食品(京都府長岡京市)が暖簾を継承。22年1月に再オープンしている。
先代の味を受け継ぐ、粒あんやきなこのおはぎの他、柚子れもん、ピスタチオ、ベリーなどの新しいフレーバーも加えて、土日祝は12種類、平日は8種類を販売中だ。商品によっては、日本茶のみならず、むしろ紅茶やコーヒーとのペアリングで食べたいものもある。
コロナ禍の最中に新規オープンした店もある。20年10月、二条城の近くにオープンした「果朋」は、季節のフルーツを生かし、洋菓子の要素も取り入れて、和菓子の革新を行っている。
フルーツ大福「果福」も良いが、それだけだと性急に拡大し過ぎて直近は店舗が減っている「弁才天」と大して変わらない。果福の場合は、それ以上に斬新な発想で生んだ商品を次々と投入していった。
特に面白いのは、瓶詰めの和菓子「果朋だんご」「果ルフェ」といった商品群だ。保存性とビジュアルを考えた商品で、果朋だんごはみたらし、京都白味噌がある。
果ルフェはパフェを瓶詰したような商品で、瓶の中は3層になっていて、羊羹、パンナコッタ、フルーツやお茶の味付けをしたわらび餅が入っている。アイテムは、いちご&マンゴー、抹茶、ほうじ茶、温州蜜柑、あんみつ。
マカロンのような見た目の蒸菓子・浮島の「珠響」も独創的だ。フランボワーズ、ピスタチオ、マンゴーと3種類がある。
世界的な和食ブームもあり、和菓子も和食の一部としてブレークしても不思議ではない。旅行に関する各種調査で、コロナ後に訪問したい国として、日本は1位にランクされている。訪日外国人はこれからも増えることが確実視され、和菓子にも世界的にヒットする絶好の環境となりつつある。
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング