コロナ禍で、和菓子店が苦境に陥っているという。人々が接触を避けるようになった結果、観光旅行、お土産、贈答の需要が激減したからだ。しかも、ここに来ての小麦、砂糖など原材料の高騰も経営を圧迫している。
コロナの影響と思しき理由で営業を終えた和菓子店を挙げてみよう。
2021年11月に閉店したのは、島根県出雲市の出雲大社近くにあった、創業200年以上の老舗「高田屋」だ。
22年2月には、1955年創業の仙台市青葉区にある「宝万頭本舗」が自己破産により事業を停止。同年3月、神戸市中央区の湊川神社前にあり、明治元年から約150年続く「菊水総本店」が、建物の老朽化のため閉店。5月には、東京の多摩地区を中心に23店を展開していた「紀の国屋」が突如、自己破産により全店を閉店した。
23年3月には、北九州市小倉北区の1954年創業「藤屋」が廃業している。
東京・練馬区に本社がある、明治12年(1879年)創業の老舗「雪華堂」は、都内に7店を有していたが、23年1月に赤坂店(港区)が閉店。4月9日に江原町店(中野区)、4月15日に氷川台店(練馬区)が立て続けに閉店し、4店が残る体制になった。
一時代を築いた地域の有名店だからニュースになっているが、氷山の一角だ。実態として、もっと多くの町の和菓子店が人知れず消えているだろう。
出雲の高田屋は「高田屋羊羹」や最中「雲太」、仙台の宝万頭本舗は「招福ネコまんじゅう」や「宝まんぢゅう」、神戸の菊水総本店は「瓦せんべい」、東京・多摩の紀の国屋は「相国最中」、北九州・小倉の藤屋は「小菊饅頭」という名物がそれぞれあった。
東京・練馬と豊島の雪華堂では、名物の「あまなっとう」を残った店で販売中だ。
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