愛読書は“ギャル雑誌”? 「はにゃ?」「勝たん」――令和版万葉集ヒットの背景和歌とSNSは似ている?(1/3 ページ)

» 2023年05月01日 08時00分 公開
[ITmedia]

 「はにゃ?」「織姫しか勝たん!」「ワンチャンないで」――。1300年前に奈良で生まれた、日本最古の和歌集『万葉集』を「令和言葉・奈良弁」で訳した『愛するよりも愛されたい 令和言葉・奈良弁で訳した万葉集1』(万葉社)がヒットしている。

 作中にはYouTubeやTiktokで見るような「若者言葉」がずらり。私たちがかつて学校で習った現代語訳とは全く違う、ポップな訳が並ぶ。著者は高松市で万葉社を一人で経営する佐々木良さん。佐々木さんはなぜ、万葉集を若者言葉、しかも奈良弁で訳そうと考えたのだろう。

読書 『万葉集』を「令和言葉・奈良弁」で訳した『愛するよりも愛されたい 令和言葉・奈良弁で訳した万葉集1』がヒット(提供:万葉社、以下同)

KinKi Kidsの名曲からインスピレーション?

 『愛するよりも愛されたい 令和言葉・奈良弁で訳した万葉集1』は恋の歌をテーマに、万葉集が生まれた奈良弁で、しかも令和の言葉で訳した本。タイトルは、KinKi Kids『愛されるより 愛したい』をもじったそう。

【訂正:2023年10月4日 一部表現を修正しました】

 タイトルだけではなく、作中には「奈良感」が満載。同じく奈良県出身のシンガー青山テルマさんの楽曲をイメージさせる言い回しや、奈良県民にはなじみ深いというショッピングセンター「ならファミリー」が登場する。

 2022年10月に発売以降じわじわと売り上げを伸ばし続け、現在は7刷9万部を記録している。

読書 作中の日本地図。よく見ると、全部奈良県で構成されている

 同作は執筆もデザインも印刷も全て佐々木さんが1人で担当している。出版元の万葉社は、佐々木さんがコロナ給付金10万円を資本金にし、20年に立ち上げた。「『文化を発信し、それが読まれることで経済が発展する』――文化による経済発展を目的とした会社です」(佐々木さん)

読書 「ならファミリー」が登場。奈良県民から評判が良いそう

 佐々木さんは「こんなん誰が買うねん、と思いながらふざけて出した本なのに、売れに売れて驚いています」と話す。

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