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営業マンからバリスタへ 68歳男性がスタバでフラペチーノを作る理由職場で恋バナも(1/5 ページ)

» 2023年04月07日 08時00分 公開
[大村果歩ITmedia]

 スターバックスの象徴ともいえる緑のエプロンを身に付け、フラペチーノを作る「68歳」の男性がいる。ホリデイ・スクエア豊橋店(愛知県豊橋市)で働く児玉吉弥さんは、65歳で定年退職をしてから3年以上、スターバックスで働いている。

スタバ 営業マンからバリスタへ 68歳男性がスタバでフラペチーノを作る理由(提供:スターバックス コーヒー ジャパン、以下同)

 スターバックス コーヒー ジャパン(以下、スタバ)では、従業員の多様な働き方を進めるべく、さまざまなサポートを行っている。その中の一つに、業務を限定した働き方を可能とする「カフェアテンダント制度」がある。業務を商品の陳列、清掃などに絞り込み、短時間の勤務を可能にする制度だ。児玉さんもカフェアテンダント制度を活用し、スターバックスに入社。現在はレジ業務やバリスタに担当業務を拡げ、活躍している。

営業→バリスタへ ダメもとで応募

 児玉さんはこれまで営業の仕事をしており、60歳で定年。その後も再雇用で65歳まで勤め上げたという。「退職後3カ月程度はぶらぶらしていた」というが、再度働くことを決めた。

 「ここまで働いたんだから少しのんびりしようと思いましたが、定年を過ぎて仕事がなくなるとやることがないんです。よく『毎日が日曜日』といいますが、日曜日は、平日があるから楽しくなるんですよね」

 「実際、諸先輩を見ていると、自宅で喫茶店を始めたり、役所の仕事や介護施設の送迎をしていたり、みんな働いている印象がありました。68歳くらいまでは働けるな、という感覚があったので、68までは働こうと思っていました」(児玉さん)

スタバ 営業マンからバリスタに転身した児玉さん

 児玉さんは定年を迎えるにあたり、和菓子教室やそば打ちに通ったという。家族に和菓子をふるまった際に「おいしいからこれで商売できるよ」といわれ、商売をしてみようかとも考えたが、単価や労力を考え断念したという。

 しかし、飲食店への興味は高まっていた。和菓子作りの経験を生かし、「あんこをつくりたい」と地元の和菓子店に応募。「間に合っている」といわれてしまった。パン店などにも応募した。

 「毎日の日課として新聞を読んでいるのですが、15年ほど前にスタバの記事を読んだんです。米国でそこそこ年齢を重ねた方がスタバで働き、人生が変わったという話でした。この記事を思い出し、アルバイト募集に応募。スタバは若い人が行くところというイメージがあって、採用されるとは思っていませんでしたね。心残りを残したくないという思いで応募しましたが、記念受験のような感覚でした」(児玉さん)

スタバ 最初は清掃、洗い物など“裏方”に専念
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