児玉さんが活用したという「カフェアテンダント制度」は、今まで時間の制約や業務の複雑性から採用につながらなかった人が活躍できる場を生み出すための制度だ。
バリスタは「接客」「レジ」「ドリンクを作る」「原材料を仕込む」「洗い物」「客席の環境を整える」など、全ての仕事を担当する。一方、カフェアテンダント制度では、フロアの清掃だけ、洗い物だけ、オープン、クローズ作業だけ――というように、1つの作業に集中できるようにした。
「バリスタは業務の内容が多岐に渡るため、アルバイトに応募する人が『私にできるのだろうか』と躊躇してしまうことがありました。もっと気軽に働く機会を提供したいと考え、カフェアテンダント制度を導入しています」(人事本部 タレント企画部 採用グループ 藤田寛爾グループマネージャー)
同社はアルバイトの募集において、年齢制限は設けていない。シニアだからカフェアテンダントに応募するというわけではなく、バリスタに応募して採用されている人も多い。
現在カフェアテンダント制度の利用者は400人程度。また、60歳以上の従業員は約100人おり、そのうちカフェアテンダント制度の利用者は約40人だという。現在最高齢の従業員は79歳だ。
「シニア層に関わらず全てのアルバイトに通じることですが、当社で働く価値は、その人の活力や生きがい、人生の充実感につながるものであってほしいと考えています。スタバでの仕事がシニアの方の新たなチャレンジとなり、ワクワクして人生を楽しみながら過ごせる場であってほしいですね。また、これまで培ってきた経験や知識を生かし、店にもパートナーにもいい影響を与えてくれることを期待しています」 (藤田さん)
そもそも同社は、Mission and Valuesに基づく採用を重視している。Mission and Valuesには「お互いに心から認め合い、誰もが自分の居場所と感じられるような文化をつくります。」とある。
「Mission and Valuesに共感している方に、年齢や個性に関係なく、みなさんが輝ける場所を提供したいです。時間を限定して働くことは『不足』しているということではありません。シニアだから、カフェアテンダントだから、ということではなく、いろいろな方が今までの経験や知識、個性を生かして活躍していただきたいですね」(藤田さん)
同社はこれまで、ドレスコードの撤廃や何かしらの障がいを持った従業員が働きやすい環境を整える「チャレンジパートナー制度」など、多様な働き方を進めてきた。
今後はさらに業務の複雑性をシンプルにすることで、より多くの人が働きやすい環境を整備する姿勢だ。
「今後は勤務時間が限られている方、いろいろな新しいことを覚えるのが難しい方、お盆だけ、GWだけなど短期で働きたい方など、より多様な働き方を実現するために、業務を整理し、組み立てなおしていきます」(藤田さん)
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