このように、災害時や急病などの緊急対応といった安全面でも、コミュニティーの力は非常に重要です。個人情報保護に過敏に反応し、個人情報を隠して人間関係を分断していくような対応は、高齢者の安全上、問題が大きいと言わざるを得ません。
個人情報保護法の第一条には、こうあります。
「個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出ならびに活力ある経済社会および豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする」
注意すべきは、「個人情報はそれが適正かつ効果的に活用されれば、活力ある社会、豊かな生活の実現に資する有用なものである」と書かれていることです。個人情報を提供して得られるメリットもあり、個人情報を隠すことによるデメリットもあると理解ができます。
高齢者についていえば、個人情報を適切に活用してくれる事業者であることが前提とはなりますが、自分の情報を提供すればするほど、さまざまな機会が提供されて楽しみができ、安全性も高まるというメリットがあり、一方、隠せば隠すほど孤独や危険のリスクが高まります。
個人情報の悪用や漏えいといった事件の報道がたびたびなされており、情報提供や取り扱いに過敏になるのは分かりますが、高齢者自身は「個人情報を提供するメリット」を、高齢者を対象とした事業者は「隠すデメリット」を、改めて考えてみていただきたいと思います。(川口 雅裕)
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