いずれにせよ、理不尽な口コミがサービス業を萎縮させている現状は問題だ。特に日本の場合、労働生産性や賃金の低さは主にサービス業が低いことが問題だ。
よく日本の賃金が低いとか、生産性が低いという話になると、「ものづくりの復活だ!」とか、町工場の力がどうこうという話になるが、実はそのあたりはあまり関係がない。
日本のGDPのうち約70%はサービス業が占めており、就労者の8割近くがサービス業で働いている。つまり、サービス業が元気にならないことには、日本経済はいつまでもたっても復活しないということだ。
にもかかわらず、多くの日本人はその経済復活のキーマンを「態度が悪い」「客をなんだと思っている」と萎縮させて、「高い! もう来ません」「ボッタクリだ」と買い叩いている。
GDPの7割を担う産業をネチネチとイジめていれば当然、日本経済は冷え込む。エラそうなモンスター客たちが「高い」「これで1000円はボッタクリだ」とかネットやSNSで悪口を広めるので、店や宿は人件費を削ってでも「安くて高品質」を実現しようとする。
つまり日本経済を冷え込ませている低賃金・低成長は、消費税がどうこうとかバラマキが足りないという話以前に、「自業自得」の面が強いのだ。
日本経済復活のためにも、逆ギレ口コミ対策に本腰を入れるべきではないか。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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