長野の老舗葬儀屋は、なぜ社長交代でDXに成功したのかレガシー産業とDX(4/4 ページ)

» 2023年07月21日 08時00分 公開
[波戸崎 駿ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

DXを推進する上でのマイルストーンを設計する

 DXを推進する上で最も重要なのが、データベースによる情報管理だ。エクセルなどで管理していると、どうしても情報が分散し、属人化しやすくなる。そのため、データベースに情報を格納し、それを自由に利用できるようにしたい。

 データベースを選定する際に非常に重要なのが「情報の流動性」だ。CSVでのエクスポートやAPI連携の可否など、自由に情報を動かせるかどうかによって、その後の「DXがどこまでできるのか」といったことに大きく影響する。

データベースに格納する情報を整理(画像はイメージ)

 自社で開発した社内のオンプレシステムがDX推進の足かせになる原因のほとんどがこの「情報の流動性」が低く、中のデータを自由に取り出すことができない点にある。データベースの選定を間違えるとその時点でDXの推進が詰んでしまうこともあるため、非常に注意すべきポイントだ。

 データベースに情報が格納される状態が整えば、あとはその周辺の課題を解決できるシステムやツールの導入をし、段階的にDXを進めていく。例えば、請求書発行をシステム化したければ、利用しているデータベースと連携して請求書発行ができるシステムを新たに導入するといった具合だ。

 このようにDXが進むケースの多くは、データベースが基盤となっている。繰り返しになるが、データベース内の情報をいかに簡単に動かせるかが、データベース選定の際に非常に重要なポイントとなる。

 また、システムを乗り換えるときのコストが最も高いため、システム導入を検討する際に、そのシステムを使うことになる現場の人間が試験的に使用し、自社の業務内容やフローに適しているかを見ること。また、データポータビリティ(データ移行)があるか、セキュリティレベルや、自社で利用しているSaaSと連携が可能かなども確認しておくと良いだろう。

 10年前と比較すると、DXは圧倒的に簡単に、身近になっている。ツールの種類や数も増えており、使い勝手も格段に良くなっている。万が一分からないことがあっても、サポート体制も整っている。昔のように莫大なコストをかけなくても、DXに取り組めるようになった。過去のレガシーに縛られず、第一歩を踏み出すことが重要である。

著者プロフィール:波戸崎 駿

Yoom株式会社 代表取締役

同志社大学商学部卒、株式会社じげんに2013年新卒入社。

事業開発、マーケティング、セールスを経験後、基幹事業である求人事業部門の事業責任者に就任。2019年1月に株式会社TimeTechnologiesを創業。22年に株式会社ブレインパッドへTimeTechnologies社の株式を譲渡した後、Yoom株式会社を創業。業務自動化するSaaS連携データベース「Yoom」を提供。


前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.