北海道新幹線は「函館駅乗り入れ」なるか? 課題は山積み宮武和多哉の「乗りもの」から読み解く(1/5 ページ)

» 2023年07月26日 09時50分 公開
[宮武和多哉ITmedia]
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新連載・宮武和多哉の「乗りもの」から読み解く:

乗り物全般ライターの宮武和多哉氏が、「鉄道」「路線バス」「フェリー」などさまざまな乗りもののトレンドを解説する。


 北海道新幹線の現在の終点・新函館北斗駅から札幌駅まで、約212キロの延伸工事が進んでいる。予定通り2030年度に開業すれば、東京駅〜新青森駅間の東北新幹線、新青森駅〜札幌駅間の北海道新幹線で直通運転を行い、東京〜札幌間が最短4時間30分で結ばれる見込みだ。

 そして、この延伸とは別に、人口約24万人を擁する道南(北海道南部)最大の都市・函館市への新幹線延伸・乗り入れ計画が浮上している。

新幹線 (提供:画像AC)

 こう書くと「あれ? 新函館北斗駅は?」と思う方も多いだろう。実は、現在の新函館北斗駅は函館市の中心駅・函館駅(JR函館本線)から約18キロも北に離れ、北海道新幹線自体が函館市を1ミリたりとも通っていない。

新幹線 北海道新幹線・新函館北斗駅と函館駅の位置関係(地理院地図より筆者加工)

 新函館北斗駅〜函館駅間の移動は、ホームからホームへの長い乗り換えを経て、快速「はこだてライナー」に乗り継ぎ、約20分の移動を要する。駅名に「函館」と名前が付いているのに、函館駅への移動は結構な不便を強いられているのだ。

 この状態を解消するために、新函館北斗駅〜函館駅間の在来線(JR函館本線)に、新幹線車両を乗り入れるというという構想が浮上した。実現すれば、観光都市・函館の中心駅に、東京駅・札幌駅から新幹線1本で向かうことができる。

 もし「北海道新幹線の函館駅乗り入れ」が実現すれば、東京〜札幌間を1本で結ぶ新幹線路線に、約18キロの乗り入れルートがヒゲのように生えることになる。なぜ、16年の新函館北斗駅開業から7年も経過した今になって、この計画が浮上したのか。まずはその背景を確認してみよう。

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