・クビや降格へのハードル
昭和の映画などではイヤミな上司が「キサマは首だ!」というシーンがありました。報道によれば前副社長の意にそぐわなければ工場長も即日降格になったというものもあります。役員臨検時の対応や予算未達成など理由があるなら、処罰は間違っていないように見えるかも知れませんが、そうなのでしょうか?
実は日本における労働者は労働基準法などの法律で強く保護されており、コンプライアンスに厳しい昨今、簡単に副社長の一存で解雇も降格もできるものではないのです。懲戒処分などの処罰には高いハードルがあり、一般的な業績不振や幹部臨検での低評価一発での降格は限りなく無理といえます。
さらに解雇となれば、そのハードルはさらに上がります。それは「合理性」の存在です。
「副社長の意にそぐわない」「役員が決めた」では何ら合理性の証明にはなりません。それゆえ解雇はもちろん、社員の降格などの人事評価には評価委員会など組織として合理性を持って判断した証拠が必要です。不始末を起こしたことで評価を下げること自体は可能ですが、その不始末のもたらした損害額を合理的に説明する責任が会社にはあります。
今回指摘される幹部による不適切行為が「パワハラ」かどうかも、単に暴言かどうかだけでの判断はできません。パワハラ判定は「パワハラ3要件」や「パワハラ6類型」に該当することで認定されます。個人の印象ではなく、法人組織の経営責任となるため、パワハラ委員会など組織としての検証と意思決定が必要です。
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