「ルービックキューブ」のブーム再燃、なぜ? 3次ブームの特徴に迫る経済の「雑学」(2/3 ページ)

» 2023年08月06日 08時02分 公開
[土肥義則ITmedia]

「過去2番目」を手にできるか

 となると、気になるのは3番目に売れたのは、いつかである。答えは22年度。「えっ、昨年だったの? 何かあったっけ?」と思われたかもしれないが、ルービックキューブと大きく関係する出来事は起きていない。

 では、何があったのか。ブームが起きている原因を探るには、時計の針を3年ほど巻き戻さなければいけない。ときは20年である。ルービックキューブの誕生40周年を記念して、製造・販売元のメガハウスはさまざまな企画を予定していた。しかし、新型コロナの感染が広がったことを受け、多くのイベントが中止に追い込まれる。

 ただ、何もせずに黙っていたのかというと、ちょっと違う。多くの人が自宅で過ごす時間が増えていく中で、担当者はあることに着目した。期間限定で漫画が無料で読めたり、動画配信で無料コンテンツが増えたり。この流れを受けて、ある動画をアップする。手の内だ。ルービックキューブをどうすれば完成させられるのか、といった攻略法をアップしたのだ。

 本体を購入すれば攻略書が付いてくるが、「書」と書かれているので紙でできている。トリセツを読むように、進めなければいけないので、理解するのにはややハードルが高い。しかし、動画であれば見ながら動かせるので、これまで完成できなかった人からこのようなコメントが出てきた。

 大人からは「子どものころによくやったなあ。でも、できなかった。動画を見ながらであればできるかも」といった意見が出てきたり、子どもからは「友だちが6面を完成させている。動画を見て、自分も挑戦してみたい」といった声が出てきたり。いわゆる“巣ごもり需要”の流れにうまく乗って、売れていったのだ。

ステンドグラスのようなルービックキューブ
パネルをスライドして色を合わせる対戦型

 結果、20年度の売り上げは「過去3番目」に。このような話をすると、カンのするどい読者はお気付きだろう。売り上げを見ると、20年度は3番目、21年度も3番目、22年度も3番目といった感じで、この3年間は右肩上がりが続いているのだ。

 となると、気になるのは今年度の動向である。メガハウスの担当者に聞いたところ「昨年を上回るペースで売れていて、このままいけば過去2番目になるかもしれません」とのこと。07年度に90万個、22年度に80万個が売れて、その差は10万個。簡単なことではないと思うが、このままいけば「過去2番目」の肩書を手にすることができる、といった状況のようだ。

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