しかしながら、それがどうもきれいさっぱりと刷新できない事情があるのだ。それこそがCX-5の存在である。CX-5は、同社が提唱する「スカイアクティブ(SKYACTIV)」技術が立ち上がった第6世代のトップバッターであり、フォード傘下から再び独立メーカーとして、全てを自前のコンポーネンツで構成する計画の象徴となったクルマであり、マツダ復活の狼煙(のろし)ともいえる1台であった。
このCX-5の成功でSKYACTIVは大成功を収め、長らく値引きで売るしかなく、「マツダ地獄」と揶揄(やゆ)された値引きと下取り価格の低迷という悪しきサイクルを抜け出した。
ヒットモデルとなったCX-5は唯一の例外として第6世代の中でフルモデルチェンジを行い、2代目CX-5は現在も売れ続けている。問題はあまりにも売れすぎていることである。実はCX-5はグローバルで見て、マツダの販売台数の3分の1を占めている。普通に考えればめでたい話なのだが、問題なのはこのCX-5は、スモールプラットフォームでもなく、ラージプラットフォームでもなく、本来それらに道を譲って生産終了になる予定の旧世代プラットフォームなのである。
要するに役目を終えて退役するはずのモデルがぶっちぎりで売れている。売り上げの3分の1を叩き出しているクルマは、経営を考えれば絶対に止められない。CX-50とCX-60が後継車としてうまく育ってその売り上げを引き受けてくれればいいのだが、もしCX-5のマーケットを引き継げないとすれば、本来事業計画になかったCX-5のモデルチェンジをやらなければならなくなる。
特にリヤサスペンションの形式が、スモールのトーションビームアクスルのままで、ガワだけCX-5らしいデザインにすればいいのであればまだ良いが、やっぱりどうしてもリヤサスがマルチリンクでないとダメだということになれば、もう1つミドルプラットフォームを開発しなければならなくなる。それは資金計画が大幅に狂うことが避けられない。
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