例えば、2020年版『中小企業白書』によれば、1999年に小規模企業は422.9万社、中規模企業は60.8万社だった。それが、16年には小規模企業は304.8万社、中堅規模企業は53.0万社になっている。つまり、この17年間で、小規模企業は約118.1万社、中堅規模企業は6.2万社減っている。
「消費増税のせいだ!」「いや、小泉・安倍政権の新自由主義が悪い!」と怒りで震える反権力の人も多いだろうが、この中小企業大激減は、誰が悪いわけでもない。強いて言えば、少子高齢化が悪い。
日本経済を支える生産年齢人口(15〜64歳)を見ると、1999年には8675万8000人もいたが、16年になると約7708万人まで落ち込んでいる。つまり、日本はこの17年で、東京23区の人口とほぼ同じ967万人の生産年齢人口が減っているのだ。
想像してほしい。東京23区の人口と同じ労働者兼消費者が消えた国の経済がどんなことになるのか。まず労働者不足になる。ロボットだAIだということでそれなりに乗り越えられるが、問題は消費者だ。ロボットやAIはメシも食わないし、買い物もしない。日本経済は「内需」に依存しているので、大打撃だ。13年からしきりに「観光立国」が叫ばれるようになったのは、これが売国政策でもなんでもなく、消費者を海外から持ってくるしか、もはや日本に生きる道がないからだ。
こういう「縮む経済」が進行していけば当然、経営基盤の弱い中小零細企業もすさまじい数で消えていく。労働者と消費者が消えて、企業だけが生き残るなんてことは道理に合わない。
むしろ、967万人も生産年齢人口が減っているにもかかわらず、小規模事業者が118万社しか減っていないことのほうが「異常」だと考えなくてはいけない。小規模事業者の平均従業員数は3〜4人だ。中堅企業や大企業の減少分を考慮しても、この3倍くらい減っていてもおかしくないのだ。
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