どうするGap 思い出深い銀座の旗艦店は閉店 このまま日本からも撤退してしまいそうな苦しい事情長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/4 ページ)

» 2023年08月24日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 ギャップの日本法人・ギャップジャパンによると、国内の店舗数はアウトレットを含めると「ギャップ」が128店、「バナナ・リパブリック」が46店(23年4月29日時点)となっている。

バナナ・リパブリック、マロニエゲート銀座3店の店舗(筆者撮影)

 ビジネスコンサルタントの小島健輔氏によれば、日本法人の年商は500億円強と推定される(出所:「WWD JAPAN『ギャップ』はなぜ凋落したのか? 市場と調達、組織の3要因を分析【小島健輔リポート】」)。15年には推計1060億円を売り上げていたとされるので、約8年で半減したことになる。

バナナ・リパブリックの店舗ディスプレイ(同上)

 ギャップはコロナ前からの縮小傾向が否めず、17年には低価格帯を担う「オールドネイビー」が、全53店を閉店。日本上陸から5年を待たずに早々と撤退している。

早々に撤退を決めたオールドネイビー(出所:同社発表のプレスリリース)

 17年には渋谷店も閉めた。19年にも原宿にあった旗艦店を閉めるなど、著名カジュアルブランドにもかかわらず、広域渋谷圏(渋谷と渋谷から1駅圏を含む経済圏)から店舗がなくなっていたのだ。

 実はギャップの不振は日本だけではなく、世界的な傾向だ。20年10月には、23年度末までに北米店舗の35%を削減し、ショッピングセンター外とECに注力すると発表していた。一方で、35%に含むのはギャップとバナナ・リパブリック。低価格帯のオールドネイビーは、3年で売り上げを80億ドルから100億ドルに引き上げるべく、年間30〜40店の新規出店を同時に明かしている。

 日本と同様に米国でも物価高が顕著で、中・低所得者層の若者が衣服にかけられる資金が乏しくなり、低価格のオールドネイビーしか買えなくなってきている現状があるようだ。ところが、日本だとオールドネイビーは、同じ価格帯で競合するGUなどに圧倒されて、既に撤退してしまった。そこが北米とは異なる事情だ。

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