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ブルボンの「食べられるストロー」 開発きっかけは「とある菓子」15〜30分の耐水性(1/2 ページ)

» 2023年08月25日 08時00分 公開
[熊谷紗希ITmedia]

 環境配慮の観点から昨今、カフェやレストランで紙ストローが積極的に採用されるようになった。しかし、消費者からは「ふやける」「ドリンクがまずく感じる」といった不満も出ている。環境とおいしさの両立はできないものか。

 そこで立ち上がったのが大手菓子メーカーのブルボンだ。同社は2020年1月、業務用にストロータイプのクッキー「コロネクッキー」を開発・販売した。23年8月からは、ファミリーマートの一部店舗(北海道・東北・関東の約2000店舗)にて数量限定で展開している。

ブルボンが開発したストロータイプのクッキー「コロネクッキー」(画像:ブルボン提供)

 コロネクッキーはストローのような棒状の見た目の甘さ控えめなクッキーだ。実際にストローとして冷たいドリンクを飲む際に使用でき、ストローとしての役目を終えた後は食べられる商品となっている。15〜30分間の耐水性を持ち、シェイクやスムージーなどのドリンクでも使用可能だ。

シェイクなどのドリンクにも使用可能(画像:ブルボン提供)

 同社の担当者は「プラスチックごみによる海洋汚染への社会的関心の高まりを感じて開発を始めた」と話す。実は、ストローのような吸い上げ機能を付加するための素材選びをする中で、同社が販売している「とある菓子」に着想を得たらしい。

コロネクッキー誕生のきっかけとなった「菓子」とは?

 きっかけとなったのは「チュエル」という商品だ。香ばしいうす焼きクレープをクルッと巻き上げ、ミルクチョコレートを詰め込んだ中空のスティッククッキーで、手を汚さずにチョコレートを食べられる点が特徴となっている。

着想を得たチュエル(画像:ブルボン提供)

 さまざまな素材を検討する中で、チュエルを含む同社のビスケット製造技術を応用して形状の加工性や吸い上げ機能の維持などの検証を繰り返した。特に生地の成型と耐水性を均一化させる仕上げ製法に多くの時間を投入し、量産化のための製造技術開発にも取り組んだ。

 「食べられるストロー」というコンセプトにもあるよう、機能面だけでなく「味」も意識した。ドリンクの味を邪魔せず、使用後もおいしく食べられるようにしているという。

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