人の成長には「守破離(しゅはり)」の段階があります。学びを守る段階、学びを破って模索する段階、指導者のもとを離れて自立する段階。上司の関わり方が正しければ、部下は段階的に成長していきます。
「守」の段階では有益だった細かく教えることは、「破」と「離」の段階に入った部下には必要ありません。足かせのように感じ、やる気を下げるだけです。
部下が仕事に慣れてくると、細かい指示は彼らからやる気を奪います。仕事が単純作業のように感じられるからです。そうなったとき、上司がすべきなのは、より難易度の高い仕事を割り振ることです。もしくは、相手からアイデアを出してもらい、新たな仕事をつくっていくことです。
自立し始めた部下には、好きにやらせることです。自由にやらせる分、大きな失敗をする可能性がありますが、上司はそのリスクをわかった上で見守り、失敗したときはサポートするという姿勢を示せば、部下の能力はそこから一気に伸びていきます。
見てはいるけど、基本的に口も出さないし、手も出さない。そんな心地良い距離感が信頼感となり、部下のやる気を高めます。
部下の能力や状況を的確に判断し、「細かく教える」「好きにやらせる」のいずれにも対応できるのが、部下のやる気を高める上司だといえるでしょう。
【まとめ】
部下の成長ステージ、能力に合わせて上司の役割を使い分ける。
この記事は、『自分のやる気が上がるのは、どっち?』(田中伸明/クロスメディア・パブリッシング)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです。
ベスリ会総院長、日本神経学会認定医、医師会認定産業医、東洋医学会専門医。鹿児島大学医学部卒業後、諏訪中央病院で地域医療に従事。その後、厚生労働省でマネジメントを、マッキンゼー・アンド・カンパニージャパンで経営を学ぶ。その経験を生かして会津大学理工学部、日本大学工学部、京都産業大学経営学部の教授として大学教育に従事。ビジネス領域で活動した医師免許所有者の社会的責務として、日本を支えるビジネスパーソンのメンタル障害を解決することが重要と考え、ベスリクリニックを開設。医学だけでは解決できない問題に対して独自の社会的アプローチを開発するとともに、ビジネスを含め、広くサービスを探査、提供している。著書に『マッキンゼー×最新脳科学 究極の集中術』など。
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