市のマスタープランでは、目指す理想像に“響鳴都市”を掲げる。「人や企業、まちの歴史と未来、最新技術と自然などのあらゆる地域資源が『もっと輝く名護市を創る』という思いを持って、それぞれの力を発揮(音を奏で)、互いに響鳴させ(ハーモニーを生み出す)、その力を最大に引き出す新しいまち」との意味を込めた。
実現すべき事項に掲げるのは以下の3つ。
1、観光地や中心市街地、周辺地域の賑わいの創出
2、産業クラスターの実現(企業誘致、事業創発)
3、人・文化の発展(人財循環、郷土愛醸成、文化の再認識・継承)
23年度に企業誘致と、実証フィールドにおける先行事業による事業創発ができる仕組みを確立し、24年度には実証フィールドやテーマを広げ、企業誘致と事業創発をさらに拡大。25〜26年度の「名護モデル」確立を目指すというロードマップだ。
実際の取り組み内容の検討を担う協議会は、同市にある公立大学法人名桜大学の林優子副学長(地域創生担当)が代表理事を務める。社員企業には以下の7社が名を連ねた。
ゆがふホールティングスやJTB沖縄は県内企業として地元課題に精通している他、インフラのシステム構築やコンサルティング支援など、各企業がそれぞれの強みを生かして課題解決の方策を探っていく。
ここで一つ、気になることがある。なぜ県外の著名な企業も参画することになったのかだ。仙台市やさいたま市など規模の大きな都市でもスマートシティの推進実績があり、名護市の構想が走り出した当初から関わっているKPMGコンサルティング(以下、KPMG)の中村博充マネジャーが、この座組になった背景を説明する。
「当社は、名護市が掲げる基本理念『“響鳴都市”名護』に賛同するとともに、実現に向けた市長や市職員の皆さまの姿勢に強く共感し『地方創生のモデルづくり』に長期的な視点で共に取り組んでいきたいと思い参画しました。その他の社員企業も同様の考えをお持ちだと思っています」(中村氏)
中村氏はさらにこう続ける。「名護市におけるスマートシティの取り組みは、市内のみならず全国の地方都市を元気にする可能性を持つと考えています。国内にある約1700の自治体で人口規模が10万人を超えているところは約15%と少なく、数万人規模がほとんどです。そのため、人口約6万5000人の名護市での取り組みは全国の自治体の課題解決につながる可能性が高いと考えています。
名護市を含めた北部エリアでは、新テーマパーク計画などさまざまな動きがあり、全国の地方都市と共通した課題も同様に存在します。そのような意味で一緒に取り組む意義は大きいと感じています」(中村氏)
「名護モデル」を形にすることは、名護市だけでなく全国の地方都市にとっても、また参画企業それぞれがスマートシティに関連した事業を拡大していく上でもメリットが大きいというわけだ。
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