自治体DX最前線

東京都の外部DX部隊「GovTech東京」始動 元ヤフー会長・宮坂理事長が語る挑戦への魅力日本最大級のDX(1/2 ページ)

» 2023年08月14日 08時00分 公開
[水口幹之ITmedia]

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 「日本最大規模のDXプロジェクトを担うといっていい」――GovTech東京理事長である宮坂学氏はこう切り出す。

 GovTech東京とは、これまで都庁内にあったデジタル部門の一部を東京都の外部団体として再組織し、都政のDXを技術的側面から推進する一般財団法人だ。9月の事業開始に向けて新たなコアメンバーを迎えるべく、10職種の採用を開始した。

 理事長を務めるのはヤフージャパンの社長、会長を歴任し、2019年から東京都の副都知事へ転身した宮坂氏だ。GovTech東京で実現すべきこと、展望について聞いた。

GovTech東京 宮坂学理事長(編集部撮影)

「20年間の失敗」繰り返さないために 日本最大級のDXの魅力

 「この20年、行政のデジタル変革はうまくいかなかった。過去と同じやり方ではなく、新しいやり方を試さなければ変わらない」と宮坂氏は話す。そこで採用したのが、先進的なデジタル政府として評価されるデンマークなどが取り入れている、外部団体としてのDX推進部隊の設置だった。

 外部団体として組織することで採用面でもメリットがある。職員の待遇や採用要件は地方公務員法で厳格に定められており、希少なデジタル人材の採用においては柔軟さに欠ける。外部団体とすることで、従来の制度にとらわれない形での給与体系の設定も可能であり、採用力向上が期待できる。採用プロジェクトは、中央省庁の幹部人材や自治体のデジタル人材採用に実績のあるエン・ジャパンが担当する。

GovTech東京公式Webサイト

技術と行政、それぞれが「漫才コンビのようにセットで動く」

 これまでDXを推進してきた都庁内の「デジタルサービス局」はデジタル技術への知見に長けた部門と、行政内のプロジェクト遂行の知見に長けた部門に分離する。技術部門は今回発足したGovTech東京へ再編し、デジタルサービスの「つくり手」として職務にあたる。一方残されたデジタルサービス局は行政とデジタルの「つなぎ手」の役割を果たすことになる。

 技術部門はデジタル領域のプロである一方、行政に関する知見は公務員に及ばない。かといって行政部門だけではデジタルに対する知見が足りない。「デジタルのプロ、行政のプロが、漫才のコンビのようにセットで動くようにしたらうまくいくことが分かった」と宮坂氏は手応えを語る。

 それぞれの役割分担も明確にする。GovTech東京はデジタル分野のサービス開発、制度の起草、予算への助言を担当し、それに対する決裁権はデジタルサービス局が持つ。外部団体であるGovTech東京には企業からの出向者も受け入れる予定だ。そうした際に利益相反が起きないよう、あくまで最終決裁権は都庁が握るようにした。

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