楽天モバイルの自社回線(MNO)契約数が500万を突破した。2022年5月に「1GB以下0円」を廃止した料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」を発表以降、契約数が減少していたが、KDDIとの新ローミング協定に基づく「Rakuten最強プラン」を今年5月に発表すると、1カ月で約10万回線ずつ増やし、このたびの500万回線突破となった。Q2決算では赤字幅は減少、ChatGPTを生んだOpenAIとの協業も発表し、明るい話題もあった。一方、依然として不安要素も残っている。
3年4カ月で500万回線を突破した楽天モバイル。最近では、楽天銀行や楽天証券、楽天生命に本人確認情報を提出している場合、楽天モバイルの契約申し込みが簡略化される仕組みも提供し、契約者獲得に注力している=画像はニュースリリースより23年度第2四半期決算では、赤字額の大幅な減少、ARPUの上昇や解約率の低下も示された。依然として赤字に変わりはないが、好転に向かっているのは明るい話題だ。
収益改善に大きく貢献したのがコスト削減だ。KDDIに支払うローミング費用や基地局の開設費用、テレビCM、ショップといった顧客獲得コストを削減し、目標として掲げた月間150億円のコスト削減は計画を大きく前倒して進捗。すでに23年第3四半期の目標を達成している。
ChatGPTを生んだAI開発企業OpenAIとの協業も発表した。脚光を浴びるOpenAIだが、日本ではソフトバンクと業務提携を結ぶのではないかと予想する向きもあったので、楽天の発表はちょっとしたサプライズだった。決算発表で、三木谷浩史社長はOpenAIのCEOサム・アルトマン氏とのツーショット写真を出し、近しい関係であることをうかがわせた。
OpenAIのCEOサム・アルトマン氏との仲の良さを感じさせる写真だが、業務提携に到った理由はそれではないという。三木谷氏は、楽天グループが多岐に渡るビジネスを展開していて、AIに学習させられるデータを豊富に持っていることが大きいと説明する。AIによって楽天グループのサービス向上につなげるほか、楽天モバイルのエッジコンピューティングにAIを活用。パートナー企業にもAIを活用したサービスを提供するという。
明るい話題があったとはいえ、もちろん不安要素は残ったままだ。
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