楽天グループが行った2022年度第2四半期決算説明会では、モバイル以外はどの事業も非常に好調だ。しかし、やはり注目されたのは、新しい料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」で“1Gバイトまで0円”を廃止したことによる影響だ。
楽天グループの三木谷浩史氏
UN-LIMIT VIIの発表後、KDDIのpovoやソフトバンクのLINEMO、MVNOのIIJmioなどで申し込みが激増したことから予想された通り、楽天モバイルの契約者数は減少した。携帯電話事業に本格参入して以降、契約者数が減少するのは初めてだ。
新料金発表後のMNO解約件数のうち、8割はデータ使用量1Gバイト未満のユーザーだという。MNOとMVNOを合わせた契約者数が、22年第1四半期の568万から546万に減少した。内訳はMNOが477万、MVNOは69万だ。
楽天モバイルの契約者数の推移(単位、万人)
この四半期は減少となったが、MNOの契約者数は前年同期比で30.2%増となっており、0円ユーザーが解約していても、この1年で楽天モバイルユーザーは着実に増えている。三木谷氏は「(0円ユーザーを除いて)真水でいうと30%くらい伸びている」とコメントしていた。
「ゼロから始めたので、最初はちょっと大盤振る舞いしなくちゃいけなかったんですけども、これからは適正な売り上げを上げていく方向に大きく舵を切りました。ユーザーを我々にとって優良なユーザーに変えていきつつ成長していくという意味では、この動きは良かったと思っています」
三木谷氏はこう語り、今後は楽天のサービスを積極的に利用する「ロイヤルエコシステムユーザー」、比較的に価格感応度が高い「スマート」ユーザー、データを大量に使う「ヘビーユーザー」の3つをターゲットにしてARPUを上げていく戦略に転換することを明らかにした。
契約者数減少の原因は、もちろん0円の廃止。新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」の発表があった5月13日から解約が増えている。
楽天モバイルがターゲットとするユーザー
- 「0円でずっと使われても困る」楽天モバイル三木谷氏の本音から漏れる内情
楽天モバイルが5月13日に発表した新プラン「Raluten UN-LIMIT VII」で、これまで基本料金無料だった1Gバイト未満を、1078円に値上げすることが話題になっている。楽天モバイルの三木谷浩史会長は「0円でずっと使われても困るというのが、ぶっちゃけた話かな。すごく正直に言って」と本音をのぞかせた。
- 1年で0円廃止 楽天モバイルが強制プラン変更を強いるワケ
楽天モバイルが5月13日に発表した新プラン、「Rakuten UN-LIMT VII(7)」が波紋。今回の問題は、旧プランのユーザーも強制的に新プランに移行となることだ。わずか1年少々で有料化するのは、意図的な不利益変更ではないかという声も。
- 楽天モバイル、1GB未満ゼロ円を廃止 強制新プラン移行
楽天モバイルは5月13日、新プランとなる「Rakuten UN-LIMIT VII」(7)を発表した。従来のプランでは月間1Gバイトまでの利用は無料だったが、こちらを1078円と有料化する。7月1日から実施し、旧プランのユーザーは強制的に新プランに移行となる。
- モバイル事業でさらに赤字拡大の楽天、収益改善のタイミングはいつか?
携帯電話事業はエリア構築のため先行投資が必要で、事業開始当初、コストがかさんで赤字が続くのは仕方がない。しかし、そろそろ黒字化の見通しも知りたいところだ。三木谷浩史社長や楽天モバイルの山田善久社長は「22年第1四半期を収益のボトムに、22年第2四半期以降は収益の改善を見込む」とした。
- 楽天モバイルが0円終了でも、KDDI「povo2.0」が0円を続けられるワケ
楽天モバイルの「0円プラン廃止」が波紋を広げている。そして新料金プラン発表後にユーザーが殺到しているのが、KDDIの「povo2.0」だ。楽天モバイルと同様に基本料0円から契約ができる。楽天モバイルは0円プランを止めたが、KDDI「povo2.0」の0円とは何が違うのか。
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