楽天モバイルが5月13日に発表した新プラン「Raluten UN-LIMIT VII」で、これまで基本料金無料だった1Gバイト未満を、1078円に値上げすることが話題になっている。同日行われた楽天グループ決算説明の質疑応答の中で、楽天モバイルの三木谷浩史会長は本音をのぞかせた。
「0円でずっと使われても困るというのが、ぶっちゃけた話かな。すごく正直に言って」
これはまさに本音だと言っていいだろう。新プランの説明会では「事業上の理由」としか0円廃止の背景を説明しなかったが、誰もが薄々感じていたことを、三木谷氏が裏付けた形だ。
これは「まぁそれはそのとおりだよね」という感想を持つ一方で、重大なことも示唆している。楽天モバイルは、最初から途中で0円を終了するつもりだったのではないか? という疑念だ。
楽天モバイルが1Gバイト未満0円の「Rakuten UN-LIMIT VI」を導入したのは2021年4月。ちょうど、ドコモなどがahamoといった格安プランの提供を発表し、楽天モバイルの価格優位性が失われるかもしれないと見られていたタイミングだ。
一般的には携帯料金プランは継続的に提供できるよう、事前に検討するのが普通だ。楽天モバイルとしても、これは段階制料金プランであり、使ってもらえば楽天モバイルの良さが分かり、1Gバイトといわず3G、10G、20Gと利用してもらえるようになることを目論んでいた。
ところがそれから1年と1カ月での方向転換だ。先の三木谷氏の発言と合わせると、2つの可能性が示唆される。
1つは、お試し利用的に提供したつもりの0円だったが、結局ユーザーは0円しか使わず、メインの回線として使ってくれなかったというものだ。
「併用していた方も、他社を解約して楽天モバイルだけにする人がどんどん増えている」と、三木谷氏はプラン変更の理由を説明する。しかし、「0円なので使ってみたらつながるし速いので、メインの携帯契約を楽天モバイルに切り替えた」人が多いのなら、0円を廃止する必要はない。それこそお試しプランとして残すほうが効果が高いはずだ。
2つ目は、もともと1年くらいで廃止するつもりだったのではないか? という疑念だ。「ずっと使われても」という表現に言葉を補足すれば「1年くらいは構わないけど、ずっと0円で使われても」となる。キリを見て、0円は終了する腹積もりだったというニュアンスも感じられる。
価格優位性を最大の武器にスタートした楽天モバイル。そこに、ahamoなど低価格を特徴とした競合のプランがやってきた。これに対抗するために、一時的な措置として0円を打ち出したのではないか。
奇しくも、並行して行っていた1年間基本料金無料(22年4月7日で完全終了)、3カ月間基本料金無料(22年5月8日で完全終了)も、ちょうど終了する。今回の0円廃止と合わせて、全ユーザーが課金対象になるわけだ。
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