「0円廃止」に対して「解約だ」と騒ぐユーザーがいる一方で、「0円で提供されていて、お金も払っていないのに文句を言うな」と楽天モバイルを擁護するユーザーもいる。どちらのスタンスもあり得ることだとは思うが、果たして無料なら後からの条件変更も許されるのだろうか。
例えば、ずっと無料という謳(うた)い文句でユーザーを集め、ある程度のユーザーが集まったら途中から有料化する。こんなサービスがあったらどうだろうか。これだけ聞くと、不誠実なやり方だと思うだろうが、今回楽天モバイルで起きたことがまさにこれだ。
あまり通信を使わなければ0円だと思って契約し、楽天の端末を48回分割払いで購入したら、途中から有料に切り替わることになったというユーザーもいる。楽天の端末は他キャリアでも利用できなくはないとはいえ、これではあんまりだ。
継続的な支払いが発生するサービスは、初回の契約が最もハードルが高い。ここを0円にして心理的に試しやすくするのは、サブスクリプションサービスの定番手法だ。一方で、解約についてもそれほど容易ではない。楽天モバイルではオンライン上で解約が可能だ。それでも、代替となるキャリアを探さなくてはいけない場合、手間の問題から「このままでもいいか」と楽天モバイルを使い続ける人も多いはずだ。
【訂正:5/19 当初KDDIなど大手キャリアはオンライン解約ができないと記載しておりましたが、ドコモとソフトバンクは21年に、KDDIは22年3月にオンライン解約に対応しています。お詫びし訂正いたします。】
今回の0円廃止に限らず、楽天グループはお得さを前面に出してサービスを開始するものの、ユーザーがある程度集まったら“改悪する”ということを繰り返してきた。これは、ビジネス戦略としては1つの方法で、違法かといえばそんなことはない。ただし、利用者に対して真摯(しんし)なやり方かというと、疑問符も付く。
「『楽天ファンだから改悪でもOK』的なツイートが少しは出てきてもよさそうなのに、ほぼ皆無。20年近く野球やらサッカーやらやっているのに。ここまでファン化しないブランドって逆に珍しい」。あるユーザーはツイッターでこうつぶやいた。
楽天のブランドは、利用者にどう受け止められているのか。“お得”で獲得したユーザーは、お得じゃなくなったら去っていく。楽天はファン構築のあり方を改めて考える時期に差し掛かっているのかもしれない。
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