「月見バーガー」文化、なぜ広がる 企業の「ノリ」に乗っかる消費者廣瀬涼「エンタメビジネス研究所」(3/3 ページ)

» 2023年09月16日 09時00分 公開
[廣瀬涼ITmedia]
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 モスバーガーやロッテリア、ケンタッキー、ファーストキッチン、ウェンディーズ&ファーストキッチンなどのバーガーチェーンにとどまらない。コメダ珈琲店は名物シロノワールにかぼちゃを使用した「お月見シロノワール パンプキン」、ドミノ・ピザは「月見クワトロ」、ピザハットはディップして食べる「Hut Melts」を月見風にアレンジした「月見Hut Melts」をそれぞれ発売した。

photo コメダ珈琲店は「お月見フルムーンバーガー」のほか、「お月見シロノワール パンプキン」を発売=公式サイトより
photo ケンタッキーは「とろ〜り月見」以外にも「エッグタルト」を復刻して発売=ニュースリリースより

 各社が行っているSNSでのキャンペーンや、テレビCMの放映は、消費者がそれら商品を認知し、興味を抱くだけでなく、「月見」市場そのものを想起するきっかけになっており、市場全体が盛り上がる要因となっている。特にSNSの投稿を見ると、今年はケンタッキーがエッグタルトを9年ぶりに販売するなど、いつもとは違うカテゴリーの「月見」から興味をひかれ、それがきっかけで「月見関連のバーガーの季節だな」と季節の変わり目を感じた者も少なくなかったようだ。

 じっくり季節を感じる余裕がない現代消費社会。季節に対する体感も暦通りでなくなっているからこそ、マーケットがカレンダー通りに提供してくれる季節限定商品から四季を感じとる文化もあっていいのかもしれない。

著者紹介:廣瀬涼

1989年生まれ、静岡県出身。2019年、大学院博士課程在学中にニッセイ基礎研究所に研究員として入社。専門は現代消費文化論。「オタクの消費」を主なテーマとし、10年以上、彼らの消費欲求の源泉を研究。若者(Z世代)の消費文化についても講演や各種メディアで発表を行っている。テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」、TBS「マツコの知らない世界」、TBS「新・情報7daysニュースキャスター」などで製作協力。本人は生粋のディズニーオタク。瀬の「頁」は正しくは「刀に貝」。

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