「月見バーガー」文化、なぜ広がる 企業の「ノリ」に乗っかる消費者廣瀬涼「エンタメビジネス研究所」(1/3 ページ)

» 2023年09月16日 09時00分 公開
[廣瀬涼ITmedia]

 今年もこの季節がやってきた。月に見立てた目玉焼きをサンドした秋の風物詩「月見バーガー」を、日本マクドナルドが発売した。最近では「月見」=「たまご(目玉焼き)」というイメージが消費者に定着し、マクドナルドにとどまらず、さまざまな飲食店で「月見」というワードを目にすることが増えた。どのようにして、月見商品の消費文化は広がっているのか。

photo マクドナルドの月見バーガー=日本マクドナルドの公式サイトより
photo バーガーキングは、パイナップルを挟んだ「チポトレ・パイン ツキミバーガー」を投入=ニュースリリースより

消費者と企業の「ノリ」で成立

 たまごとオーロラソースが特徴の日本オリジナルの「月見バーガー」は、1991年に初めて販売された。興味深いのは「月見」というイメージがまだ定着する前のことであり、たまごが人気 → 秋はたまごが安定供給される → 秋にたまごを使った商品を出す、という消費者ニーズが開発背景にあったことだ。

 当時の調査で、バーガーに入っているとうれしい人気食材が「たまご」と判明。たまごは秋に安定的に供給されるので、当時900店舗ほどあった全国のマクドナルドが安定的に仕入れられることも背景にあったようだ(日本マクドナルドのWebサイトより)。

 もともと「月見」といえば「月見そば」を想起する人も多いのではないだろうか。卵を落とすと満月が浮かび上がり、そばの熱によって卵白が徐々に温められることで朧月のように見える。黄身に箸を入れてかき混ぜると月の明かりは闇夜に消えていく。お椀の中で日本人は風流な移ろいを楽しんでいたわけだ。

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