消費文化に詳しいニッセイ基礎研究所の廣瀬涼研究員によると、アップサイクル商品には2つのパターンがある。(1)サステナビリティやフードロス解消など環境意識の高い消費者向けに、何らかの廃材や製造過程で生まれるごみを再利用して作られるもの、(2)特定のサービスや企業のファン、ロイヤリティーが高い顧客向けに廃材を再利用するもの──というパターンだ。
「前者はSDGsの広がりとともに少しずつ認知され始めているが、コストが掛かっていたり、『食べたことのない味』『使ったことのない素材』など目新しかったり、代替性の利く商品があふれていたりするので、環境意識が高い消費者でないと手を出しづらいのが現状だ」(廣瀬氏)
そのため、盛り上がっているのは後者だという。「後者はファン向けの商品なので、環境意識よりもロイヤリティーが先行する。以前から鉄道業界では駅の看板や枕木などが販売される機会があった。東京ディズニーリゾートでは、キャスト(従業員)のコスチュームをリサイクルしたアウターとリュックサックを販売するプロジェクトもある」
こうしたアップサイクル商品は、企業からするとサステナブルな経営をアピールする材料になる。「SDGsへの対応が求められる中で、資源を有効的に利用していることを発信できれば、環境に配慮した経営を行っているというメッセージになる」
廣瀬氏は「ロイヤリティーの高い顧客にとってアップサイクル商品を購入することは、そのサービスの一部(JR東海でいえば東海道新幹線)を所有できるということ。グッズを買えた消費者は、その企業とのつながりが強固になっていく」とも説明している。顧客とのエンゲージメントを高める効果もありそうだ。
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