新幹線の部品が金属バット、スーツケースに変身 「アップサイクル」が進む背景経済の「雑学」(1/2 ページ)

» 2023年09月30日 09時00分 公開
[ITmedia]

 東海道新幹線のアップサイクル(再利用)商品が相次いで登場している。JR東海とミズノは、車両のアルミをリサイクルした子ども用の金属バットを発表した。旅行かばんなどで知られるエースラゲージ(大阪市)も、新幹線の廃材をスーツケースや座布団などに作り変えて発売。消費者によって環境意識に差があり、アップサイクルの浸透は道半ばだが、ファンを多く抱える企業を中心に進みそうだ。

photo JR東海とミズノが共同開発した金属バット=ミズノのニュースリリースより
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 JR東海とミズノが共同開発した金属バットは、東海道新幹線N700系の車両をリサイクルしたものだ。アルミを新しく製造する場合と比べると、CO2排出量を97%削減でき、環境への負荷を軽減できるという。発売本数は1400本限定、価格は1万4300円だ。

 発売は10月だが、予約の状況は好調だという。「新幹線バットは新規購入者の割合が非常に高く、初回購入と非会員の購入が全体の約90%を占めています。鉄道ファンからの購入が多いのではないかと考えています」(ミズノの広報担当者)

 エースラゲージも、東海道新幹線N700系typeAのシートを再利用。スーツケース(6万2700円から)やアイマスク(9900円)、座布団(1万3200円)などに加工して販売している。新幹線のシートの素材は、上質な見た目で触り心地もいいベルベッドやビロードと呼ばれる生地だ。座席から取り外した生地を洗浄、平面に戻して裁断し、縫製している。

photophoto エースラゲージも、東海道新幹線N700系typeAのシートを再利用

 近年、廃棄予定だったものを価値のあるものに作り変える「アップサイクル」への関心が徐々に高まっているが、浸透は道半ばだ。

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