さて、筆者はこの発表会で新型センチュリーを見た時、なるほどこれはセンチュリーだと思った。エンジニアリング的には、センチュリーを「カムリでデビューしたGA-Kプラットフォーム」で作り上げて良いものだろうかと思わなくはないが、まあ乗って良ければそれはそれで解決する。しかしまずもって、センチュリーに見えるという最初のハードルを越えられなければ何もスタートしない。新型センチュリーはそれを越えてきた。
デザインを仔細に見ていこう。最初に目に入るのはその独特のアーチを持ったショルダーラインである。ショルダーラインとはフロントフェンダーから始まり、前後ドアとガラスの境目を経て、リヤフェンダーラインへと続く線だ。
通常セダンのデザインを見る時に、最初にチェックするところだ。セダンのデザインを明確に決めるキャラクターラインでもある。というわけで、これがどうつながっているかがポイントになる。
セダンは、フロントピラーの付け根で、ボンネット、フェンダー側面、ルーフからフロントウィンドーへの面という3つの面がぶつかる。3つを同時につなげる場合もあるし、まず2つをつなげてから最後の1つを合わせる場合もある。同じことはリヤのピラーでも起きる。それをどう処理したかが現れやすいのがショルダーラインなのだ。
センチュリーセダンを見ると、ショルダーラインから下の面が前から後ろまで、一切の迷いなくひとつながりの側面になっている。
ショルダーラインは、基本は前後に伸びやかに。かつ無機質な冷たさにならないよう、たおやかな上反りの張りが掛けてある。だから側面視で、前後が絞られている形に見える。ただこの絞りはテイストだけの造形ではない。
通常、幾何的な長方形は、人間の目からは中央部がくびれて見える。だから絵心がある人が描いた長方体は、側面視でも上面視でも、ちゃんと前後を絞っている。人の目の錯覚を補完してあるわけだ。だからモノの形は先端部に近づくほど絞られた方が正しい。そうしないと先端部が肥大し、中央部がくびれて、安定的な形に見えないからだ。
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