なぜ、新型センチュリーは“SUV”と名乗らないのか 副社長が語った「その先」の戦略鈴木ケンイチ「自動車市場を読み解く」(1/3 ページ)

» 2023年09月07日 11時17分 公開
[鈴木ケンイチITmedia]

 9月6日、ついに新しいトヨタの「センチュリー」が初公開されました。威風堂々たるグリルに、高いボンネット、大きなタイヤ、リヤハッチバックを備えるスクエアなキャビン。6月に実施されたトヨタの新型「アルファード/ヴェルファイア」の発表会での予告で「どうやら、センチュリーのSUVバージョンが出るらしい」といううわさが、ついに現実のものとなったのです。

suzuki 9月6日に世界初公開された新型センチュリー(発表会で著者撮影)

 ところが、トヨタのニュースリリースには、どこにも「SUV」「クロスオーバー」との文言はありませんでした。発表会でも誰も言いません。一方、もともとあったセンチュリーは、わざわざ「センチュリー(セダン)」と表記。これは一体、どういうことなのでしょうか?

 その疑問は、発表会終了後に行われたトヨタ執行役員・副社長である中嶋裕樹氏への囲み取材で解決できました。

suzuki 写真右がトヨタ執行役員・副社長である中嶋裕樹氏(発表会で著者撮影)

 結論から言えば「センチュリーは、SUV/クロスオーバーになる」とのこと。

 センチュリーはトヨタの最高級かつ、歴史があるモデル。ある意味、最も保守的な層に向けたモデルです。急に「セダンをやめて、SUV/クロスオーバーに切り替える」というのでは大騒ぎになるでしょう。ですから当分の間は、これまでのセダン型のモデルと、新しいSUV/クロスオーバーのモデルを併売するというのです。

 ちなみに、過去のセンチュリーは、初代が30年、2代目が20年と非常に長期にわたって販売されています。現行型のセダンのセンチュリーの登場は2018年で、まだ5年目。モデルライフ的には、今後5〜10年ほど作り続けられてもおかしくはありません。つまり、これから5〜10年くらいの併売時期を経て、その先に今回登場した“新しいタイプ(SUV/クロスオーバー)”だけの時代がやってくるというわけです。

suzuki 2018年に登場した現行モデル(発表会で編集部撮影)
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