なぜ、新型センチュリーは“SUV”と名乗らないのか 副社長が語った「その先」の戦略鈴木ケンイチ「自動車市場を読み解く」(3/3 ページ)

» 2023年09月07日 11時17分 公開
[鈴木ケンイチITmedia]
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世界のVIPはセンチュリーをどう見る?

 プラットフォームはTNGA GA-Kプラットフォームを採用。「カムリ」や「クラウン」にも採用されているFFベースのものです。これに3.5リッターV6エンジンとモーターを組み合わせたプラグイン・ハイブリッドシステムが搭載されています。この3.5リッターV6とTHSハイブリッドは、トヨタ初の組み合わせです。

suzuki V6 3.5L プラグインハイブリッドシステム(プレスリリースより引用)

 また、後輪用モーターも搭載するE-Fourの4WD駆動となります。電池はニッケル水素で、満充電でのEV走行換算距離は69キロ。システム最高出力は303キロワット(412馬力)となります。

 価格は2500万円で、セダンタイプの2008万円よりも大幅アップしています。ただし、新しいセンチュリーは、ほぼフルオーダーのように受注されるとか。後席ドアをスライド式にすることもでき、発表会ではオープン仕様の可能性もほのめかされています。吊るしで、しかもカスタムなしで注文するという人は、まずいないはず。きっと、2500万円どころか、実売はもっと高値になるのではないでしょうか。そして、それでも注文に対して生産する数が追い付かなくなることは間違いないはずです。

suzuki 後席ドアはスライド式にも変更可能(発表会で著者撮影)

 これまでセンチュリーは、ほぼ国内専用のクルマでした。そのため、センチュリーがどれだけコスト度外視で、常識外れの手間暇をかけて生産されていたのかは、海外に知られていません。しかし、新しいセンチュリーはセダン型のモデルも含めて海外でも販売されます。ある意味ここで初めて、トヨタの本気の一端が海外に知られることになるのです。世界のVIPは、センチュリーにどのような反応を見せるのでしょうか。

suzuki トヨタの本気、世界はどう見る?(発表会で編集部撮影)

筆者プロフィール:鈴木ケンイチ

1966年9月生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく“深く”説明することをモットーにする。


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