新型センチュリー開発のきっかけは「今、世界的にラージクラスのプレミアムSUVが流行っていて、売れそうだから」というわけではないようです。もともとトヨタの前社長である豊田章男氏から「若い世代に向けた、これまでとは違う新しいセンチュリーが欲しい」というのがスタートだったとか。「若い世代に向けた新しいセンチュリー」がどんなものなのか、開発陣は相当悩んだそうですが、最終的に後席に座る乗員の乗り降りの所作を最優先に考えたそうです。
センチュリーはショーファードリブン、いわゆる運転手付きのVIPのクルマであり、主人公は後席の乗員です。その後席の人が乗りやすく、座りやすく、そして降りやすい座席の高さから始まり、クルマ自体の高さや大きさなどが決まったのだとか。荷室と前後座席との間は透明な仕切り板で区切られています。格好はSUVでカジュアルに見えるけれど、中身は従来通りのフォーマル感のある快適空間となっているのです。
また、開発では「センチュリーらしいかどうか」を非常に重要視したそうです。威風堂々たるスタイルや、日本の美意識を感じさせるディーティールへのこだわり。後席を重視した居住性、滑らかで静粛性に優れた走りは、歴代のセンチュリーの開発と同様の目線で行われたといいます。
さらに生産は、これまでと同様に“匠”と呼ばれる技能に優れた少数のスタッフが手掛けます。生産数はなんと月間30台。今回のモデルからは国内専売ではなく、注文があれば海外にも販売します。しかし、生産は日本国内の愛知県の田原工場だけで月に30台しかありませんから、すぐに長いバックオーダーとなることでしょう。
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