奈良: 事前にコミットした内容と実際の活動、結果を丁寧に照らし合わすという過程で評価をすることで、甘くならないようにしているのですね。
高度専門職となった方々は、他の社員の皆さまには知らされているのでしょうか。
白井: はい。ロールモデルを作るという意味で、各領域の専門家、高度専門職の人は誰で、どのような研究をしていて、どういう実績を積んできているかを社内で公開しています。
奈良: 高度専門職の方々にも緊張が与えられ、そこを目指す人からの目標地点もできるので、社内への公開はとてもいい影響を及ぼしていそうですね。
奈良: 高度専門職制度によって、専門性の高い人材の確保と従業員の働き方にいい影響があったとうかがいました。23年の中期経営計画における進捗状況報告の中でも、24年までの高度専門職の人数のKPIに対して着実に進められている様子が報告されています。
数値としても成果が出ていると言えると思うのですが、成功の秘訣(ひけつ)はどこにあるとお考えでしょうか。
白井: いくつかあるのですが、制度を改定する際、実際に高度専門職と共に働く現場部門と一緒に考えて作り込んだことが特に大事だったと思います。
また、17年から継続して、専門領域ごとに今後の人材確保や育成施策、本制度の今後の活用方法を議論できています。こうした協力があるからこそ、形骸化せずここまで進めてこられたのではないでしょうか。
もう一つ重要だと感じているのは、従業員自らプレゼンテーションするという点です。上司や部門内の従業員、人財育成員会からの指摘などを踏まえながら計画を立て、プレゼンテーションし、コミットすることで本人の意識付けや成長にもつながります。
奈良: 高度専門職人材に何をやってもらうか、3年間の活動計画というのを候補者本人が勝手に考えるのではなく、上司などと一緒に考えながら宣言をすることで、高度専門人材としての意識付け、評価基準の明確化だけでなく、部門として支えていく雰囲気も醸成されます。それらの活動が最終的に、当初の高度専門職制度の目的である新規事業の創出につながっていくのですね。
最後に、今後の展望について教えていただけますでしょうか。
白井: 今後の展望としては、より新規事業創出につなげていく取り組みをしていきたいと考えています、高度専門職一人が何かできるというでことはなく、そういった力をどう活用して新しい事業を生み出していくか、もう少し踏み込みたいと思っています。
奈良: ビジネスモデルが変化していく中で、新しい事業を創出することは不可欠ですよね。
10月26日(木)掲載の次回記事では、旭化成独自のエンゲージメント調査「KSA」の狙いと、その運用方法に迫る。
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