普段は引き立て役の具材やソースをあえて主役として打ち出す商品も開発した。「調味料マニア」を自負する開発者のこだわりがつまっている。
「ダシを活かすための親子丼」(495円)は、熊本県・天草の漁港でとれた新鮮な小魚の節(ぶし)のだしを主役にしている。だしの優しいうまみを最大限味わえるように、親子丼と組み合わせた。
「西京味噌で米を食い続けるための金目鯛西京焼きおにぎり」(214円)は、京都の老舗が取り扱っている希少な西京味噌を使用しているのが特徴。
なぜ、ドンキはこうした個性の強い総菜・弁当を開発したのだろうか。
ドンキを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)の森谷健史上席執行役員は、中食市場がコロナ収束後も伸び続けており、今後も成長が期待できることが背景にあると説明する。
日本惣菜協会によると、中食(総菜)の市場規模は2012年に8兆7132億円だったが、22年は10兆4652億円まで増加。単身世帯や共働き家庭の増加で、総菜や弁当のニーズは高まっている。
中食市場が盛り上がる一方、課題になっていたのが弁当・総菜ブランドの存在感の低さだ。森谷氏は「ドンキで弁当・総菜を取り扱っていることがほとんど知られていない。また、購入したお客さまからは『安いけど普通だよね』『どこかで見た商品だよね』といった声が聞こえてくる。現状はお客さまの期待に応えられていない」と反省の弁を述べた。そして、万人受けを狙った商品開発ではなく、好きな人に圧倒的に支持される商品を目指すとしている。その姿勢が「みんなの75点より、誰かの120点」というコンセプトに反映されている。
弁当・総菜部門の開発責任者である服部司氏は「今更クオリティーや価格だけで勝負しても競合に埋没してしまう」と開発の背景を語る。
PPIHは22年7月、弁当や総菜の製造などを手掛けるカネ美食品(名古屋市)に対してTOBを実施すると発表している。現在は同社の筆頭株主になっており、ドンキらしい弁当・総菜をつくるために、カネ美食品と業務提携して開発を強化。各地の工場からドンキに総菜や弁当を供給していく体制を整備した。
ドンキの超個性的な弁当や総菜は消費者の支持を得られるか。
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