4月、すき家やココス、はま寿司などを手掛けるゼンショーHDがロッテリアを完全子会社化。ロッテHDとしては不採算事業を手放したかったようだ。その後、従来通りロッテリアとして運営すると思いきや、ゼンショーは9月に新業態・ゼッテリアを開始。気になる名称の由来は「ゼンショー」の「ゼ」ではないという。ロッテリアの由来だった「ロッテ」と「カフェテリア」にちなんで、「絶品バーガー」と「カフェテリア」から着想したとしている。
ロッテリアとゼッテリア、両者の違いを比較してみよう。ロッテリアは「絶品チーズバーガー」(440円)を筆頭に「エビバーガー」や「てりやきバーガー」などを単品で400〜500円台、セットでは900円近辺で提供している。
ゼッテリアでもバーガーを提供しているが、中でも「絶品バーガー」シリーズを看板商品としているようだ。絶品バーガーはロッテリアのバーガーより小さめであり、円形ではない横長のバンズが特徴である。価格帯は単品で300〜400円台、セットは600〜700円台と、ロッテリアより低価格になっている。
そのほか、ゼッテリアではフェアトレードコーヒーを提供しており、ESGに配慮した面も見せている。赤色を基調とした看板や店内の様子に大きな違いはないが、ロッテリアが「食事としてのバーガー」であるならば、ゼッテリアはより低価格の「ライトな間食」といった印象を持った。
新業態店の名称をゼッテリアとしたのは、ロッテリアの“オワコン感”を払拭(ふっしょく)する理由もあるだろう。
具体的な名前を出すのははばかられるが、一度ピークを迎えて衰退してしまったブランドが復活する例は、飲食店や居酒屋、さらにはSNSなど業態を問わずあまり見かけることがない。例えロッテリアのメニューを刷新したところで、消費者が抱いている印象を回復させるのは難しいのではないだろうか。とはいえ、全くの新ブランドで展開するのも至難の業であり、消費者にとって無名の店舗は近寄りがたいといえよう。
こうした状況においてゼッテリアという名称は、ロッテリアのネームバリューを活用しながらも旧業態との違いを訴えられ、絶妙なバランスを有している。また、先述の通り公式には「ゼンショー」との関係性を否定しているが、少なからず話題性は狙っていたはずだ。「ゼンショーが運営しているバーガー店」という印象を持てば、消費者は安心して入れるだろう。
ゼッテリアの低い価格設定に関しては、中価格帯で伸び悩んだロッテリアから教訓を得たと考えられる。ゼッテリアのバーガー類はやや小さい印象も否めないが、女性客や間食として求める層を狙っていると考えれば合点がいく。最近はマクドナルドのセットも700〜800円台が当たり前となっており「安い」印象はなくなりつつある。ゼッテリアは低価格を求める層とマッチするかもしれない。
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