ゼンショーHDがバーガー事業に参入するのは「ウェンディーズ」に続き二度目となる。02年にダイエーから買収したウェンディーズ事業は不振となり、わずか7年で撤退を発表した。こうした苦い過去があるにもかかわらず、ゼンショーHDはなぜバーガー事業にこだわるのだろうか。
ロッテリア買収についてゼンショーHDは「食材調達、物流など仕入面でのシナジー効果が発揮されるため」と公表している。ゼンショーといえばすき家・なか卯など牛丼事業がメインであり、牛丼の肉には通常、牛バラ肉の一種である「ショートプレート」が使われている。一方でハンバーガーのパティには肩やロイン・もも・バラなど多様な部位の肉が使われる。マクドナルドの場合は精肉として切り落とす際に出る「トリミング肉」を活用しているようだ。
筆者の憶測になるが、牛丼とバーガーの両方を手掛けることにより、活用できる部位が増えるため、低コスト化や食品ロスの削減につながると考えたのではないか。ゼンショーHDは原料調達から加工・店舗運営まで一貫して運営するMMD(マス・マーチャンダイジングシステム)の強化をうたっており、ロッテリアの買収もMMD強化の一環とみることはできる。
なおゼッテリアの今後に関して、ゼンショーHDの広報は「ロッテリアの既存店舗をどうするかを含め、ゼッテリアの今後の店舗展開は未定」と別記事の取材で回答している。今は模索段階ということなのだろう。仮にゼッテリアが成功すれば、牛丼事業の利益率改善をもたらすかもしれない。
山口伸
化学メーカーの研究開発職/ライター。本業は理系だが趣味で経済関係の本や決算書を読み漁り、副業でお金関連のライターをしている。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー Twitter:@shin_yamaguchi_
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