「韓国流マンガ」は市場を支配するのか? webtoonと漫画の戦略を比較するエンタメ×ビジネスを科学する(1/4 ページ)

» 2023年10月31日 08時00分 公開
[滑健作ITmedia]

 漫画は日本の文化として世界に誇るコンテンツだ。昨今は電子版の普及により、市場をさらに拡大させている。一方で近年、韓国発祥のwebtoonという新しい形態のマンガ/コミックが急成長している。webtoonはスマホで縦スクロールしながら読むことを前提としたマンガ/コミックであり、カラーで描かれたイラストにせりふを加えたものである。

 webtoonは韓国だけでなく中国や東南アジアなどでも広く受け入れられており、こちらも市場規模は拡大し続けている。

webtoon公式Webサイト

 今後、漫画とwebtoonはどちらが優位に立つのだろうか? 両者の現状を再確認した上で将来を展望する。

※国外ではコミックとwebtoonを別のコンテンツとして取り扱う場合もあるが、日本国内では一般的に「マンガ/コミック」のいちジャンルとして位置付けられているため、本稿はそれに従うこととする

※本稿では「マンガ/コミック」を一般総称として、「漫画」を雑誌掲載で連載などをしているものとして扱う

5年後に4兆円市場に? webtoonの成長スピードのすごさ

 まず、webtoonの売上規模や成長スピードを確認しよう。webtoonは韓国で1990年代後半から2000年代初頭に始まったコンテンツであり、その後インターネットやスマートフォンの普及に伴って急速に広まった。現在では韓国だけでなく東アジア圏に加え、欧州や米国、日本でも注目を集めている。

 webtoonの市場規模について正確な統計はないが、QYリサーチ社の調査によると2022年の市場規模は37億ドル(約5500億円)超、29年には7倍以上となる270億ドル(約4兆円)超に成長すると見込まれている。

 また同社のコミックブックに関する調査では、22年に110億ドル超、29年に190億ドル超と予想している。にわかに信じ難い差だが、それだけ成長が期待されている分野なのだ。

 なお日本国内に限定した場合、出版科学研究所の調査によるとマンガ/コミックの市場規模は21年に6000億円超となっている。電子コミックの普及や大ヒット作の登場などにより、18年の4000億円超から急成長中だ。

 そのうちwebtoonが占める割合は10%程度であり、世界市場と比較すると日本国内のwebtoonはまだまだ発展途上にあるといえる。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.