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「実写版ワンピース」 ネトフリが平気で「映画10本分」以上の予算を投入するワケ1話あたり約26億円(1/2 ページ)

» 2023年09月13日 08時00分 公開
[古田拓也ITmedia]

 日本のマンガ・アニメ文化が世界に影響を与えている中、特に注目を集めているのが、Netflixが製作・配信する「実写版ワンピース」だろう。同社が9月6日に発表した「Netflix週間グローバルTOP10」(英語シリーズ)で1位を獲得するなど、好スタートを切っている。

実写版ワンピースが話題に(出所:Netflix公式Webサイト、以下同)

 海外メディアの報道によると、今作の投じた製作費は1話あたりなんと1800万ドル(約26億円)。単純計算になるが、現在公開されている8話目までで製作費は200億円を超えていることになる。

 日本における商業映画1本の製作費の平均は約3.5億円といわれている。スタジオジブリが作画期間2年をかけた大作『もののけ姫』の製作費が約24億円といえば、その規模の大きさが伝わるだろうか。

 著名マンガタイトルの実写版をめぐっては、過去にハリウッド肝いりで製作した映画『ドラゴンボール・エボリューション』など、興行的に手痛い結果となった事例もある。そんなジンクスを恐れず、Netflixが本作に巨額の投資を行った理由は何か。

平気で「映画10本分」以上の予算を投入するワケ

 実写版ワンピースは、原作者の尾田栄一郎氏をエグゼクティブプロデューサーに招いている。同氏は8月31日に「この作品に一切の妥協はありません!!」という熱い思いをつづった直筆レターを公開しており、実写化に一抹の不安を抱えていたファンも期待したはずだ。

現時点で8話まで配信中

 Netflixは、もとはといえばDVDレンタル業の会社だった。時代の変化を察知してオンライン配信にシフトしてからは、しばらくは有名タイトルの誘致によって知名度を上げるという王道パターンで業績を伸ばしていた。

 しかし、近年のNetflixはネット配信で連続ドラマを見るという新しい消費行動を根付かせることによって、新たな市場を作り出している。これは、コンビニチェーンやスーパーマーケットがプライベートブランド商品の開発に乗り出すことと似ている。自社で開発した商品は卸値や粗利の設定が他社製品よりも柔軟に設定でき、利益率も高まる傾向にある。

 こう考えると、ネットフリックスはすでに完成したコンテンツを他社から仕入れて「小売り」する立場から、作品を作って・売るまでも手掛ける「プライベートブランド」へ舵を切ったともいえる。

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