実写版『ワンピース』は、漫画の実写化における「ドラゴンボールの悪夢」を振り払うことができるか(1/3 ページ)

» 2023年06月30日 20時00分 公開
[徳力基彦ITmedia]

この記事は、Yahoo!ニュース個人に6月18日に掲載された「実写版『ワンピース』は、漫画の実写化における「ドラゴンボールの悪夢」を振り払うことができるか」に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。


 いよいよ、実写版『ONE PIECE』のティーザー映像が公開され、世界中で大きな注目が集まっています。

photo 実写版『ONE PIECE』(出典:Netflix公式Webサイト)

 このティーザー映像が公開されたのは、日本時間の早朝に開催されたNetflixのグローバルイベントである「TUDUM」の会場。登壇者に、アーノルド・シュワルツェネッガーや、ガル・ガドットなど世界的な映画俳優がずらりと並ぶ豪華な世界イベントになります。

(参考:Netflix、実写ドラマシリーズ『ONE PIECE』8月31日配信開始、映像初解禁

 実写版『ONE PIECE』はそうそうたる作品群が並ぶ中で、最後から3つ目という順番で発表。世界に2億人以上の会員がいるNetflixのイベントならではで、世界中のファンが注目していたようだ。発表直後にはイベントが開催されたブラジルだけでなく、フランスやスペインなど世界中でTwitterのトレンド1位や2位に入る結果になっていたようです。

 映画『ONE PIECE FILM RED』も、フランスをはじめとして海外で話題になっていたように、世界中に「ONE PIECE」のファンがいることが良く分かる出来事といえるでしょう。

(参考:記録更新続出の映画「ワンピース」に学ぶ、大ヒットの背景にある緻密なハイブリッド戦略

「ドラゴンボールの悪夢」を振り払えるか

 ただ、日本の漫画『ONE PIECE』のファンとして、気になるのは、やはり実写版『ONE PIECE』が漫画の世界観を破壊するような展開にならないかどうかという点でしょう。

 実際に、今回の予告動画を紹介するメディアのツイートのコメント欄などを見て回ると、期待の声も多い一方で、批判的なコメントも多数見つけることができます。

 特にハリウッドによる日本の漫画の実写映画化の歴史は、何度も日本の漫画ファンの期待を裏切る展開になっていることが、そうした批判コメントの背景にあるはずです。

 何と言っても象徴的なのは、世界的にファンが多い漫画『ドラゴンボール』の実写映画である『DRAGONBALL EVOLUTION』でしょう。

 この作品は、2009年に公開された「ドラゴンボール」のハリウッド版実写映画ですが、実写化する上で主人公の孫悟空が高校生という、原作とはまったく異なる世界設定が行われ、ファンから大きな批判を受けた上に、興行的にも大失敗。映画の脚本家が7年経ってからファンに謝罪することも話題になるという、日本の漫画のハリウッド実写化に対するトラウマの源泉となっています。

photo 『DRAGONBALL EVOLUTION』(出典:ディズニー+公式Webサイト)

(参考:映画「ドラゴンボール・エボリューション」の脚本家がファンに謝罪

 今回の「ONE PIECE」の実写化においても、「ドラゴンボールの悪夢」をもとに否定的な記事を書いているメディアが少なくありません。

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