特にそうした批判的な意見の背景に証拠として横たわるのが、現在も日本の漫画の実写化においては、失敗事例が複数存在している点です。
直近で象徴的なのは、今回の実写版『ONE PIECE』にもゾロ役で出演する新田真剣佑氏が主役を務めた実写版『聖闘士星矢』である『聖闘士星矢 The Beginning』が興行的には失敗に終わってしまっている点でしょう。
(参考:日米で興行振るわず… 実写『聖闘士星矢』はホントに失敗作? 「宣伝不足」の意見も)
また、今回、実写版『ONE PIECE』を独占配信するNetflixでも、過去に実写版『カウボーイビバップ』を配信したものの、シーズン1であっさり打ち切りを発表し、ファンからの批判を集めた歴史があります。
(参考:実写版「カウボーイビバップ」の打ち切りが決定 ファンの反応に温度差「ですよねー」「まだ見たかった」)
こうした失敗事例の積み重ねが、日本の漫画やアニメファンの、ハリウッド実写化に対する本能的な嫌悪感につながっているというのが実態でしょう。
ただ、過去に失敗しているからといって、永遠に成功できないということはもちろんありません。
象徴的なのは、今年映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が、30年前の実写映画の大失敗を乗り越えて、大成功を成し遂げている点です。
(参考:映画「スーパーマリオ」の大ヒットが予感させる、ゲーム映画の黄金時代)
もちろん、この映画は実写ではなくCGアニメですので、今回の実写版『ONE PIECE』とは文脈が異なります。
ただ、今回成功した映画『スーパーマリオ』と実写版『ONE PIECE』の共通点といえるのは、映画『スーパーマリオ』にゲーム開発者である宮本茂さんや任天堂がコミットしていたように、今回の実写版『ONE PIECE』には漫画原作者の尾田栄一郎さんがコミットしている点です。
特に、尾田栄一郎さんの「僕の寿命を計算してもONE PIECEが世界に向けて大きく踏み出せるチャンスはこれが最後だと思います」というコメントが、非常に印象的です。
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