長かった“暗黒時代”を脱却し、再び活況を帯びるウイスキー市場。一方で、最近では一部商品の品薄が話題になるなど、新たな課題も生まれている。そもそもウイスキーは長期間にわたって原酒を寝かせて熟成させる。そのため、不遇の時期に生産を絞った影響もあってか、市場に流通する商品数はすぐには増やせないのが現状だ。
「商品を欲していただく全員にお届けできていないのは、非常に苦しい状況だ。ただ、生産能力を増強させる目的で13年以降に累計で700億円程度の投資をしている。これまでの10年で、貯蔵能力は6割ほど増やせた。
一方でやはりウイスキーは年数がかかる商品であり、ラインアップも幅広いことからすぐに対応するのは難しい。今後も積極的に取り組んでいく思いだ」(秋山氏)
今回のリニューアルでは、過去に山崎蒸溜所で使用していた機材を再利用した内外装や、新たに公開するエリアも設けた。コロナ前の19年は通年で約13万人が来場していたところ、24年には13万5000人の来場を見込んでいる。インバウンドへの対応も強化し、以前は総来場者のうち10%程度だった外国人来場者の増加も期待する。
1984年から長く続いた不遇の時代でもウイスキーへの情熱を欠かさず「山崎」や「響17年」(84年発売)、「白州12年」(94年発売)といった今でも愛される商品を次々と繰り出してきたサントリー。当時にまいた種が、国際的なコンペティションで評価されるなど、花開いている。次なる100年に向けて、リニューアルした山崎蒸溜所でファンの「仕込み」と「熟成」が始まった。
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