スマホで撮れるのに、なぜ「チェキ」は人気なのか いまでも“論争”が起きる商品群過去最高の売り上げ(4/5 ページ)

» 2023年11月02日 08時00分 公開
[小林香織ITmedia]

ラインアップを広げ、ファン層を拡大

 その後、富士フイルムではチェキのラインアップを拡充。14年にはスマホで撮影した写真をチェキのフィルムでプリントできるスマートフォンプリンターを発売。17年にはデジタルデータを本体に保存して、プリント前に画像編集・加工ができるアナログとデジタルのハイブリッド機種を発売した。

プリンターは「ミニ」「スクエア」「ワイド」の3サイズがある(富士フイルム提供)
“ハイブリッドインスタントカメラ” INSTAX mini Evo(インスタックス ミニ エヴォ)は女性のミドル・シニア層や男性から支持が高いそうだ(筆者撮影)

 かわいいデザインばかりでなく、幅広い層が好むようなスタイリッシュなデザインの機種もそろえた。その結果、ユーザーは女性のミドル・シニア層だけでなく、男性にも広がった。グローバルで高い支持を得たのがハイブリッドカメラだったという。

 一方で、既存のチェキの愛用者や社内から「チェキはアナログだからいいんでしょ」とネガティブな意見も少なくなかったと高井氏。

 「『ハイブリッドにしたらデジカメと変わらないよね』と。その論争は今もありますが、チェキの一番の魅力はプリントした写真にあるのであって、そこに行き着くまでのプロセスは、どんな方法でもいいだろうと捉えています。ラインアップ拡充の目的は、チェキプリントの価値をより広く届けるためです」

取材に応じてくれた富士フイルム イメージングソリューション事業部 コンシューマーイメージング グループ 統括マネージャーの高井隆一郎氏(筆者撮影)

 それからも「なぜユーザーがチェキを好むのか」を探り続けた。その結果をもとに、富士フイルムでは19年にチェキのタグラインを一新。それが「don’t just take, give.」で、日本語では「とるだけじゃない、あげたいから。」とした。

 「チェキシリーズの存在価値を一言で表したのが、このタグラインです。以前は各国の現地法人ごとにバラバラだったのですが、これを機に全世界で統一するように。それ以降は商品企画やプロモーションツールなど、すべてタグラインに沿っています」

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