リテール大革命

横浜にオープン「レジなし店舗」の勝算は? 米では相次ぎ閉鎖も(2/3 ページ)

» 2023年11月06日 07時00分 公開
[後藤文俊ITmedia]

3000店目標→実際は23店舗 「アマゾンゴー」閉鎖が続くワケ

 アマゾンゴー1号店は2018年1月の一般公開から現在までに23店舗となっています。実は米国の都心部のビジネス街にあるアマゾンゴーは今年(23年)、9店舗を閉鎖しています。4月には、シアトル市内の2店舗も閉鎖。この他にサンフランシスコ市内にある全4店舗、ニューヨーク市内の2店舗の計8店舗を閉鎖したのです。

 都心部に現在展開するアマゾンゴーは、NYマンハッタンでスターバックスと提携した2店舗を含め8店舗、シカゴ市内に5店舗、シアトル市内に4店舗。このほか、郊外型のアマゾンゴーはシアトルやロサンゼルス郊外などに全6店舗――となります。

 1号店がオープンした当初、3000店舗の展開もうわさされていたアマゾンゴーは結局、23店舗となっているのです。

 また新規出店が凍結されているアマゾン・フレッシュ(全44店舗)は、一部にジャスト・ウォークアウトを導入した店舗から、スマートカート「ダッシュカート」(Amazon Dash Cart)に変更した店舗もあります。ダッシュカートは、ショッピングカートに搭載されたカメラと重量センサーが商品を識別して金額を精算する仕組みで、こちらもレジに並ぶ必要がありません。

 しかしなぜ、レジなし店舗はこれほどまでに振るわないのでしょうか。

 筆者は先日、ジャスト・ウォークアウトを導入した売店を空港で視察する機会がありました。空港や駅のターミナルでコンビニエンスストアを展開するハドソンのレジなし売店「ハドソン・ノンストップ」(Hudson Nonstop)です。

ハドソン・ノンストップはゲートでクレジットカードを差し込んで入店する。店内にある端末でメールアドレスなどを登録しておけばレシートを送信してくれる(筆者撮影)

 アマゾンの自動決済システムを導入したハドソン・ノンストップは、ロサンゼルス国際空港ターミナル3にあります。デルタ航空のターミナルの中央に位置しているハドソン・ノンストップはガラス張りのポップアップ型。営業時間は早朝4時〜深夜0時。

 10坪もない店舗の品ぞろえはサンドイッチやラップなどの軽食に飲み物、キャンディやスナック、風邪薬、さらに機内で快適に過ごすためのグッズや小型電化製品、アクセサリーなどがあります。ハドソン・ノンストップの入店はゲートでクレジットカードを差し込んで入ります。

 空港に設置された、ジャスト・ウォークアウトを導入した売店には、大きな課題も見えました。それは、スタッフが多すぎることです。

ロサンゼルス国際空港ターミナル3にあるレジなし売店「ハドソン・ノンストップ」。革新的な店舗のため来店客に説明するスタッフが3人もいた(筆者撮影)

 日本ではレジなし店舗を「無人店」と表現するメディアもありますが、レジがなくても決して無人にはなりません。なぜなら、革新的な店舗だからこそ、案内にスタッフが必要となるためです。

 筆者が見た際、入り口付近で説明を行う専任スタッフは3人もいました。ハドソン・ノンストップがある場所はターミナルでも極めて往来が激しい通りにあります。

 国内の旅行者の多くはジャスト・ウォークアウトを見慣れていない地方出身者であり、さらに海外からの旅行者も少なくありません。したがって店に入る際、ゲートを開けるのにクレジットカードが必要となるなど、多くのツーリストが入店に戸惑うことになるのです。

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