デジタル技術を用いて業務改善を目指すDXの必要性が叫ばれて久しい。しかし、ちまたには、形ばかりの残念なDX「がっかりDX」であふれている。とりわけ、人手不足が深刻な小売業でDXを成功させるには、どうすればいいのか。長年、小売業のDX支援を手掛けてきた郡司昇氏が解説する。
コロナ禍を経て、海外を中心に、BOPIS(ボピス)と呼ばれる新たな買い物体験を提供する小売店が増えています。
BOPISは“Buy Online Pick-up In Store“ の略です。ある小売業のオンラインチャネルで購入した商品を、同企業が運営する店舗で受け取る買い物形態のことを指します。
「なぜ店舗まで受け取りに行かないといけないの? 配送してくれた方が便利じゃない?」と感じる読者もいるかもしれません。しかし、BOPISには顧客と店舗の双方にとって優れたメリットがあります。
米小売大手ウォルマートが先駆けて導入し、日本の小売業でも注目を集めるBOPIS。今回は、9月に筆者が小売視察で訪れた米ニューヨークのBOPISの最新動向を紹介します。
20代で株式会社を作りドラッグストア経営。大手ココカラファインでドラッグストア・保険調剤薬局の販社統合プロジェクト後、EC事業会社社長として事業の黒字化を達成。同時に、全社顧客戦略であるマーケティング戦略を策定・実行。
現職は小売業のDXにおいての小売業・IT企業双方のアドバイザーとして、顧客体験向上による収益向上を支援。「日本オムニチャネル協会」顧客体験(CX)部会リーダーなどを兼務する。
公式Webサイト:小売業へのIT活用アドバイザー 店舗のICT活用研究所 郡司昇
公式Twitter:@otc_tyouzai、著書:『小売業の本質: 小売業5.0』
ECで購入した商品を店舗で受け取るBOPIS。似た概念として、クリック&コレクト(Click & Collect)があります。クリック&コレクトは、ECで購入した商品を自宅以外の場所で受け取るショッピングスタイル全般を指す広い概念です。
例えば、Amazonや楽天市場で購入した商品をコンビニや宅配受け取り用ロッカーで受け取るのもクリック&コレクトです。Amazonで購入した商品を、コンビニなど注文したサイト以外の企業実店舗で受け取るのは、クリック&コレクトではありますが、BOPISではありません。
また、店舗に車で訪問して駐車場でオンライン購入した商品を受け取ることができるカーブサイドピックアップはBOPISの形態の一つです。
これらを図にすると以下のようになります。
BOPISは欧米や中国などの大手小売業で導入が進み、各社の成長の原動力となっています。コロナ禍で店舗での滞在時間を減らしたい顧客ニーズを受けて利用客が急増し、優れた顧客体験からリピートが多く、その後も定着しています。
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