「マイクロモビリティ」が次々に登場 個性的なモデルは広まるのか高根英幸 「クルマのミライ」(2/5 ページ)

» 2023年11月06日 08時00分 公開
[高根英幸ITmedia]

 では特定原付以外の電動キックボードには、どんな種類があるのか。まずは保安部品を備え、車体も保安基準に合致した「原付」規格の電動キックボードだ。これはモーターの出力が0.6kWを境に、それ以下であれば「第一種原付」となり、それ以上にパワフルなモデルは「第二種原付」になる。第二種となっても乗車装置がないため二人乗りはできない。

 それ以外は公道を走行することができない「遊具」でしかない。これを「安いから」という理由だけで、購入して公道で乗り回すのは違法であるだけでなく、非常に危険だ。新品時には問題ないように感じても、構造や部品の強度や精度が低いのですぐに壊れるケースがある。

 ヘルメットを被るのは面倒、というならセニアカー(電動車いす)か電動アシスト自転車を選ぶのが賢明だ。時速6キロというのは遅く感じるが、ヘルメットを被らずに移動する乗り物としては安全の限界域なのだ。

 電動キックボードの特例特定原付は、歩道走行のみの規制であり、車道を走るときには時速20キロまでスピードが出て、路面の凹凸でバランスを崩しやすいので、ヘルメットなしでの走行はかなり危険性が高い。

都市部では電動キックボードを見かける機会も増えてきたが、キチンとルールを守って走行している人ばかりではない。車線の中央を走ったり、右折レーン(小型特殊の場合は利用できるが危険)を走ったりする人もみかける

 キックボードで転倒した経験がなければ、小型軽量な見た目から「クルマより低速で走るのだから、危険性は低いだろう」と甘く考えて、乗り回し始める人も多いかもしれない。しかし車輪が小さく、乗車中は重心が高くなるキックボードは路面の変化による影響を受けやすく、簡単に姿勢を崩しやすい。

 いつもの道をいつもと同じように走っていたとしても、わずかな走行ラインの違いで路面の起伏や舗装の継ぎ目による段差の衝撃力が違えば、走行中に安定性を失うかもしれない。あるいは大型車の走行により、一気に路面が損傷して穴が空いてしまった箇所があるかもしれない。

 携帯性や収納スペースを考えれば小径ホイールは便利だが、遊具の発想から生まれたモビリティは公道で使うにはかなりリスクがあり、その構造や品質だけでなく乗り手も考えて利用することが求められるのだ。

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