『ドラゴンクエスト』位置情報ゲーム、リアルイベントも好調なワケ スクエニに聞いた(4/4 ページ)

» 2023年11月12日 08時00分 公開
[宮武和多哉ITmedia]
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DQウォークの魅力と強み

――柴プロデューサー自身もDQウォークのヘビーユーザーとお聞きしました。ゲームとしてのDQウォークの強み・魅力は、どんなところにあるのでしょう。

柴プロデューサー: ゲームとしての強みは、スマートフォンのGPS機能を活用した「位置情報ゲーム」にとどまらない、ユーザーを引き入れる間口の広さでしょうか。昨年は「カジノ」(22年9月実装)など、家を出ずともプレイできる機能を充実させています。

kue ゲーム画面のAR機能を利用して、モンスターを現実世界に映り込ませて写真を撮れる(著者撮影)

 ユーザ−のスタイルも「カジノだけをひたすらプレイ」「各都道府県4カ所ずつにある『おみやげ』のコンプリート」「タニタとコラボレーションした歩数計測『あるくんですW』でスライムを育てる」など、人によってさまざまです。DQウォークはかなり手広くコンテンツをそろえているので、全てプレイしようとすると疲れてしまいます。無理ない範囲で、好きなものをプレイしていただければと思います。

――DQウォークはサントリー、イナバ物置、コカ・コーラ社の公式アプリ「Coke On」、タニタなど、多くの企業と公式コラボされているかと思います。これは、先方から提案があったのでしょうか?

柴プロデューサー: 各企業からコラボのお話をいただくのですが、『ドラゴンクエスト』のファンは熱量が高く、中途半端な内容にするわけにはいきません。しっかりと訴求できるコラボを行うため、我々DQウォークチームから直接お声をかけさせていただくことが多いです。

kue イベント中のゲーム画面(著者撮影)

――『ドラゴンクエスト』のファンは世界中に多く、スマートフォン・タブレット端末用ゲームアプリ「ドラゴンクエストタクト」などは世界配信を行っています。DQウォークは今後、海外展開の予定はありますか。

柴プロデューサー: DQウォークは位置情報を活用するので、すぐに展開することは難しいかと思います。23年3月から台湾地域で国内版のゲームプレイを可能にしましたが、海外展開、つまり海外版となると位置情報だけでなく現地のより詳細な情報なども把握する必要もあるため、現時点では慎重です。

DQウォークは「遊びのプラットフォーム」?

 今回の取材では、リアルウォーキングを体験(プレイ歴は特級職レベル60〜64、おみやげ120個)し、柴貴正プロデューサーにも話を聞いた。その中で見えてきたDQウォークの強みは「位置情報ゲームもできる、遊びのプラットフォーム」であること、ではないだろうか。

 各社が強みを生かした位置情報ゲームをリリースする中で、タイトルに「ウォーク」とあるのに、歩かなくてもいいコンテンツまでそろえる幅の広さは、競合との大きな差別化ポイントである。かつ要所でつい課金してしまう仕掛けもあり、DQウォークは安定した高収益をキープできるビジネスモデルとして、しっかり成立しているようだ。

kue 宝箱を守るカンダタ(著者撮影)

© ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX

宮武和多哉

バス・鉄道・クルマ・駅そば・高速道路・都市計画・MaaSなど、「動いて乗れるモノ、ヒトが動く場所」を多岐にわたって追うライター。幅広く各種記事を執筆中。政令指定都市20市・中核市62市の“朝渋滞・ラッシュアワー”体験など、現地に足を運んで体験してから書く。3世代・8人家族で、高齢化とともに生じる交通問題・介護に現在進行形で対処中。

また「駅弁・郷土料理の再現料理人」として指原莉乃さん・高島政宏さんなどと共演したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」(既刊2巻・イカロス出版)など。23年夏には新しい著書を出版予定。

 noteでは過去の執筆記事をまとめている。


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