足元を温める意外な方法で爆売れ! 細かなニーズに対応した“踏むヒーター”はどうやって誕生したのか(2/2 ページ)

» 2023年11月21日 05時00分 公開
[昆清徳ITmedia]
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「踏んだ時だけ電源ON」が生まれた背景

 踏んだ時だけ電源がONになるアイディアは、技術者との度重なる話し合いの中で生まれたという。

 「『最も単純で低コストなのは、足を置く台が電源スイッチそのものである構造』という基本方針に沿って、形状と機能をデザインしました」(担当者)

 オフィスで目立たず、使用しないシーズンに収納しやすくするためには、コンパクトで場所をとらないようなサイズである必要があった。一方、足を置く台を電源スイッチにするというアイディアを実現するため、人間の一般的な足の大きさより小さくすることはできなかった。

 「『足を乗せる』という、人間にとっては割と雑なアクションをトリガーにするので、モード切替スイッチを振動や衝撃に強くする必要がありました。そのため、ある程度の大きさ・頑丈さが各部品に求められてしまい、その調整に苦労しました」(担当者)

 他にも苦労したポイントとしては、電源ケーブルの収納問題があった。温風を吹き出すユニットや切り替えスイッチの構造をコンパクトかつ頑丈にすることと、電源ケーブルの収納場所を確保することの調整にも苦労した。

電源ケーブルをコンパクトに収納

 オフィスでの業務、自宅での動画鑑賞・読書などを邪魔しないように、騒音や振動を抑えるようにもした。感覚的には、小さい扇風機の「弱」風量を使用した時のような作動音を目指したという。

 10月末からテレビなどで取り上げられたことで、注目度が一気に上がった。利用客からの反響について担当者は「やはり、『足元があったかいと落ち着いて仕事や勉強できる』といった声が一番多いです。エアコンが効いてても足元は冷えたまま、という『冬のあるある』に対して皆さま、さまざまな工夫をされてこられたようなのですが、『足ぬっくエア』であればシンプルな解決ができると喜ばれているようです」と説明する。

全体のサイズ

 課題としては「収納のためとはいえコードが短いのが残念」という声があったことを挙げる。この点については、今後の製品開発の参考にしたいとのこと。

 11月中旬に完売した「足ぬっくエア」だが、生産の諸条件がそろわなかったことから、今冬用の追加生産の予定はないという。現在、来年冬用の生産を検討している段階だ。

「シンプルで目立たない暖房器具」を目指した
収納スペースもとらないように工夫した
シンプルな構造でお手入れが簡単になるようにした
温風の出る部分
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