HR Design +

中小・零細を支える謎の「フルタイムパート」 就業規則の規定に合致しない存在だが、問題は?フルタイムのパート社員という矛盾(3/3 ページ)

» 2023年11月30日 08時00分 公開
前のページへ 1|2|3       

フルタイムパートの受け皿の整理

 適切な労務管理のために、会社は雇用形態ごとの役割や労働条件などを整理して就業規則に定める必要があります。特にフルタイムパートが活躍する会社では、正社員かパートタイム労働者かの二択でなく雇用形態を何パターンか持っておくと便利です。

 厚生労働省でも正社員について、定年までの雇用で週40時間程度働き、転勤や職種の変更もあるという従来の在り方に限定しない多様な働き方の取り決めを推奨しています。

厚生労働省で正社員についても多様な働き方を推奨している(画像:厚生労働省「勤務地などを限定した「多様な正社員」の円滑な導入・運用に向けて」)

 いわゆるフルタイムパートについては、正社員並みに働いていながら従来の正社員の枠にはまれない事情があるためパートタイマーという雇用形態に属していることが多いです。ですので、正社員にいくつかのパターンがあれば当てはめられるでしょう。多様な受け皿を持っておくことで他社に比べて採用活動を有利に進められるというメリットもあります。

 また多様な正社員の整備に関する助成金も充実しています。

多様な正社員の整備に関する助成金(画像:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)」)

 有期雇用労働者を正社員へ転換した場合に1人につき57万円助成されるキャリアアップ助成金で「勤務地限定・職務限定・短時間正社員」制度を新たに規定し、これらの雇用区分に実際に転換などをした場合は9万5000円の加算があります(1事業所当たり1回のみ)。

 このような制度を上手く活用しつつ、自社に合った雇用形態の整理を進めていきましょう。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.