ドラッグストア業界は他の業態と比較し、市場の寡占化が進んでいません。そのため、まだプレーヤーが群雄割拠している状態です。今後も企業の統廃合が多く発生することが予想されます。
各社の店舗数は増加傾向にあり、営業利益率も他の業態より若干高い傾向にあります。業界1位のウエルシアは、19年から22年にかけてのCAGRが9.6%。ツルハは4.9%、マツキヨココカラ&カンパニーは統合の影響もあり17.2%と、それぞれ堅調な成長を見せています。
ドラッグストアの多くは調剤薬局機能を店舗に有しており、ラストワンマイル対策(自宅への配送)によって薬の提供が途絶えることがないようにするという観点での、地方を含めた健康インフラ整備という大役を担っています。それに伴い、毎日のデータを通して生活習慣病の対策を行うアプリなどをどの企業が実現するか、各社が暗中模索している状況です。
健康とアプリを巡っては、さまざまなチャネルが乱立している点が課題といえるでしょう。コカ・コーラが提供する「Coke ON」のような飲料購入と運動を促進するアプリ、あるいはタニタが提供しているような体組成計と連携するもの、ソフトバンクによる「HELPO」からアップルウォッチまで、いくつものソフト・デバイスを1人のユーザーが併用しているのが現状です。今後、情報を一括管理できるサービスはより求められていくはずでしょう。
ホームセンターは、コーナン商事の出店が目立ちます。既存のホームセンター業態は店舗の飽和を迎えていますが、一方でチャンスはまだ広がっているといえるでしょう。例えば、建設関係者を対象とするようなプロ業態では、コーナン商事や大和ハウスグループのロイヤルホームセンターが拡大を計画しています。
ホームセンターは、各エリアで支持されるチェーンが定着している傾向があります。そのため、出店によって競合を倒すのではなく、ECによって既存の市場を奪取できるかが今後の鍵を握ります。この点では、カインズが先んじてデジタルマーケティングを強化し、成果につなげています。
DCMホールディングスも「BOPIS(Buy Online Pick up In Store)」を推進し、ECで購入した商品を受け取れる店舗を増やした(+163店舗)ことで、ECの売り上げや店舗受取比率の向上につなげています。既に出店しているエリアにおける店舗受け取り・宅配という強みを生かしたECの拡大と、未出店エリアへのデジタルマーケティングによる顧客奪取が、今後もホームセンター業界で激化していくことが予想されます。
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