リテール大革命

マック、KFCより人気 「日曜は働かない」米最強ファストフード店のビジネスとは?(2/3 ページ)

» 2023年12月12日 07時00分 公開
[後藤文俊ITmedia]

KFCやマックを圧倒する1店舗あたりの売上高

 筆者にとって、チックフィレのフライドチキンはKFCよりもおいしいと感じます。それは使っている油からも分かります。チックフィレのチキンはオレイン酸が多く含まれ、健康にも良いとされるピーナッツオイル(落花生油)を使って揚げています。格子状のワッフル・フライド・ポテトもピーナッツオイルで揚げており、チックフィレは全米最大の落花生油バイヤーでもあります。

 チックフィレで大人気となるレモネードはレモンと砂糖と水だけで作られています。保存料などが入っていないため、その場でレモンを絞って作るのでフレッシュなのです。チックフィレはサンキスト・レモンを年間2.5億個も購入しており、レモネードは年間1.21億杯提供しているといいます。

チックフィレのチキンはオレイン酸が多く含まれ健康にも良いとされるピーナッツオイル(落花生油)を使って揚げている。格子状のワッフル・フライド・ポテトもピーナッツオイルで揚げており、チックフィレは全米最大の落花生油バイヤーでもある(筆者撮影)

 レモンを思い出す以上に、カーネル氏がさらに酸っぱい顔になりそうな事実があります。チックフィレの1店舗あたりの売り上げです。

 市場調査や消費者動向に関するデータや統計を提供する世界最大級のプラットフォームのスタティスタ(Statista)によると、20年の1店舗あたりの売上高でチックフィレは堂々の1位。なんと501万ドル(約7.5億円)にも上っていました。

 2位は全米に600店を展開するレイジング・ケインズ(Raising Canes)ですが、同社の385万ドル(約5.8億円)をチックフィレは30%も上回っているのです。3位はテキサス州を地場に900店弱を展開するワッタバーガー(Whataburger)。4位はイン&バーガー(In-n-Out Burger)の306万ドル(4.6億円)です。

 5位に外食チェーンの巨人であるマクドナルドの294万ドル(4.4億円)が入ってきます。KFCは1店舗あたりのファストフードチェーンの売上高ランキングで20位以内に入っていません。

全米47州に3000店を展開するチックフィレ(筆者撮影)

 チックフィレが公開した400ページ超におよぶフランチャイズ開示文書(Franchise Disclosure Document)の64ページ目に、1店舗あたりのリアルな年間売上高が記述されています。モールなどに出店する小型店を除く国内店(約1800カ所)の1店舗あたりの売上高の中間値は796万9510ドル(約12億円)とあります。1店舗あたりの売上高の平均は814万2257ドル(約12億円)。しかも国内1800店の31%となる優良店は900万ドル(約13.5億円)を超えているとの記述です。

 日本マクドナルドHDは21年12月期通期決算で1店舗あたりの平均月商が上場以来最高となる約1800万円となりました。外食業界の巨人も1店舗あたりの年間売上は2.2億円。チックフィレの米国での人気ぶりが分かると思います。

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