欧州の大手上場企業およそ1万2000社は、CSRDの報告義務を果たすため、24年1月からデータ収集作業を開始する見込みです。25年には、EU域外に親会社を持つおよそ1万社を含むさらに多くの欧州企業が同様の取り組みに着手すると考えられます。
その結果、欧州企業だけでなくそのバリューチェーンを構成する日本国内のさまざまな規模の企業を含む世界中の企業が、自社のサステナビリティインパクトとビジネス慣行に関する情報の提供が求められることになります。
さらに、CSRDの報告対象企業には外部保証が義務付けられているため、当然そのビジネスパートナーにも、信頼できる情報の提供が期待されます。投資家、消費者、労働者、そして市民社会がCSRDを通して企業の新たな情報を入手し利用することが一般的になればなるほど、情報の質に対する期待値も必然的に高まっていくでしょう。
CSRDは、今後の世界のビジネスの在り方を大きく左右する要因となり得ます。このような潮流に対して日本企業に求められる対応は、以下の3つです。
次回の記事では、ISSB基準がグローバルな規制の潮流に与えうる影響、そしてISSBとCSRDの相互補完関係について解説します。
前職はSEC(米国証券取引委員会)国際部門のアシスタント・ディレクターとして、気候関連の開示問題について、国際規制当局、標準制定者、規制機関とのSECの関与などを担当。SEC参加前は、法律事務所に所属。パーセフォー二公式Webサイトはこちら。
日系コンサルティングファームにて官公庁の脱炭素技術開発政策の立案や民間企業へのGHG見える化、脱炭素戦略立案の支援を担当。欧州にてサステナビリティ領域の博士号を取得しており、国内外の脱炭素技術や政策動向に精通。パーセフォー二ジャパンのXはこちら。
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